【鬼灯の冷徹】輪廻転生〜矛盾〜

陸拾玖 ページ24

鬼灯side


A「…あ、見えましたよ、バス停」



Aさんが角の先を指差す



バス停の時刻表を見てみると、どうやら丁度今出たようで、次のバスまでは20分近くあった



A「……今出たようですね…間に合わなかった……」


鬼灯「仕方ありません。タクシーで行きましょう」


A「はい」



運よく、すぐ近くには朧車タクシーの乗り場がある


私とAさんはそこに向かった



鬼灯「タクシーに乗るのは久しぶりです」


A「地獄では朧車がタクシーをしているんですか？」


鬼灯「そうです。私、朧車の車部分が体内なのか、いつも気になるんですよね」


A「鬼灯さまらしい疑問ですね」



Aさんは心なしか楽しそうに見えた



タクシー乗り場に着くと、二人…いや二台？朧車が話をしていた


どうやら現世で多発しているタクシー強盗についてのようだ



朧車1「あ…でも、腹の中から突つかれたら嫌だなぁー」


朧車2「あぁ、それは確かに痛いな」


鬼灯「その車部分、やっぱり体内だったんですね」


A「それを聞いた後に乗るの、少し気が引けます…」


朧車1「あぁ、お客様」


朧車2「あ！鬼灯さまだ。えっと…それから…？」


A「Aと言います。先日から閻魔大王の第二補佐官になりました。以後お見知りおきを」



そう言って簡単な自己紹介を済ませて深々と頭を下げ、世間話もほどはとに朧車に乗り込んだ




A「……これは体内じゃない、体内じゃない……ﾎﾞｿﾎﾞｿ」



顔が引きつってますよ、Aさん



A「お願いします」


朧車１「任せて下さい！最速で飛びますよ！」


A「いえ、安全運転をお願いします」



と、Aさんが言った直後だった


朧車が勢いよく飛び上がり、体n……車体が揺れた



当然シートベルトなんて無く、乗っていた私たちも揺れる


私は踏ん張れましたが、Aさんはそうはいかず、バランスを崩しこちらに倒れてきた



A「！」


鬼灯「ｯ！！！」



ｷﾞｭｯ



なんとか抱き止め、安堵の息をはいた



……無事で良かった……



A「ほｯ…ずき、さまｯ…苦し、です」


鬼灯「！すいません！大丈夫ですか！？」



安堵のあまり、力いっぱい抱き締め過ぎたようです



A「ｹﾎｯ、ｹﾎｯ……大丈夫です」ニコ


朧車１「すっ、すいません！お怪我は……？お詫びと言っては何ですが、メーター下げときます……」

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