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肆拾陸 ページ48

閻魔side



閻魔「あ、Aちゃんは好きなタイプとかってある?」


A「私ですか…?そうですね…特にはありませんよ。チャラくなくて、浮気をしなければ」


閻魔「こんな人がいい、とかって無いの?もうちょっと詳しく!」


A「そう言われましても…私は愛されるだけましだと思うので、あまり求めたりはしません。精神はそこそこ強いですし、お付き合いするかはさておき、大抵の方は受け入れます」


…ごめん鬼灯くん、わしにはこれが限界だよ


鬼灯「…Aさんは、もっと欲を持ってもいいんですよ」


A「欲…もし…もしも、欲を言ってもいいのでしたら」


意外だ…

Aちゃんにも欲があるんだ


A「…あと一つだけ、願いを叶えて欲しいです」


鬼灯「願い?」


A「なにがなんでも叶って欲しい願いは叶いました。ただ、欲を言ってもいいのでしたら、あと一つ、叶えて欲しいです」


鬼灯「…どんな願いですか?」


A「…とある人に、私のことを思い出していただきたいのです」


鬼灯「…その人のことを好きなんですか」


A「え……きっと、そうなんだと思います。私、こんな気持ちになったことがないので分かりませんが…この気持ちを「恋」だと言うのであれば、最初で最後の恋です」


そう言うAちゃんの顔は、とても悲しげで苦しそうだった


鬼灯「…私にしておけば、苦しまずに済むのにボソッ」


A「?鬼灯さま…?」


鬼灯「…何でもありません」


A「…そうですか。では、私は失礼します」


閻魔「あ、うん。お疲れ…そうだ!今度Aちゃんの入社をお祝いして、みんなで飲みに行こうと思ってるんだ。Aちゃんもおいでよ」


A「はい、ぜひ。…では、お休みなさい」


鬼灯「っ!Aさんっ!!」


A「!どうしました?」


鬼灯くんが、帰ろうと背を向けたAちゃんの腕を掴んだ


鬼灯「あの……入社祝いです」


A「!これ…この間の簪」

それは、鬼灯の飾りがついた簪だった

Aちゃんは見たことあるみたい

A「これ、どうしたんですか」


鬼灯「入社祝いで私からのプレゼントです」


A「え、でもこんな高価なものを…私いただけません」


鬼灯「……じゃあ、毎日着けていてください。それが代金です」


A「…分かりました。……えと…どうですか?」


鬼灯「よくお似合いです」


飾りの鬼灯が揺れた

肆拾漆→←肆拾伍


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作者名:黒鴉 | 作成日時:2018年12月21日 16時

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