｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿伍. (ページ20)

今日:12 hit、昨日:12 hit、合計:17,773 hit

隻眼の案山子の見解＿＿零弐ページ20

.

黒鴉を模したハーフマスクに身体全体を覆うくすんだ鈍色の外套、フードは深くかぶっており鼻から下しか顔が解らない。ただ解ったのは其奴は高身長の男であると言う事であった

男は一言も言葉を発さずただ此方を鴉の様にジッと見つめている

(あれは暗部じゃないな…三代目が言っていたAの護衛か……)

にしても護衛にしては派手過ぎやしないか？
カカシも約十年程暗部に身を置いて来たが基本的に目立つ様な格好はしないししてはならない。かつての師、波風ミナトの妻うずまきクシナの護衛を一時期任ぜられた時も家の屋根で見張りをしたり物陰から怪しい人間が害を成さないか監視していたものだ

その時とて暗部の仮面に黒いフードの外套を纏っていたと言うのに

｢あれ、Aの護衛？｣

｢えっ何処でそれを⁉︎｣

護衛の姿としては失格点の男を指で差して問い掛けてみると、Aは驚いて声を上げる。どうやらビンゴらしい

｢火影様から事前に報告受けてたのよ、お前には一人護衛が着いってるってさ。……ま、護衛としては及第点もあげられないかな〜｣

｢い、いや…あの人元々暗部じゃないので…そんな事言われても…｣

(十年も暗部に居てナルトのお母さんの護衛もやってた人と比べないで下さいよカカシ先生…)

呆れてものも言えないのか代わりに大きな溜息を吐くA

その姿に歳不相応だなと疑問を抱いてしまったのは何故だろうか。歳不相応な人間なら過去にも見て来た筈なのに

｢シ…じゃ無かった……護衛さんが迎えに来てくれたのであたし帰りますね！では先生明日演習場で！＿＿＿＿"遅刻して来て大丈夫ですよ"！三人はあたしが面倒見ておきますからー！｣

｢・・・は？｣

護衛の下に走って行きながら手を振った彼女の発言に思わず耳を疑った

それどころか驚き過ぎて忍ベストの肩がずり落ちかける。危ない危ない

………………何故今日初めて会ったAがカカシの遅刻を知ってるんだ？一体どこから？いつ？暗部の名残で個人情報は消す様にしているのに

｢……やれやれ…三代目、ダンゾウ様、彼女は心配なんかよりももっと酷いかもしれませんよ｣

護衛と共に飛雷神で帰路に着いたであろう空白となった暗がりの地面を眺めながら、カカシは苦笑混じりにこの場に居ないAを心配する上層部の二人に対して己なりの見解を見出す

｢心配｣のニ文字で彼女を片付けられない
長年の忍の勘がはたけカカシにそう告げていた

.