｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿肆. (ページ25)

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真夜中の報復者＿＿弐ページ25

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｢…立ち入り禁止のテープが見えねぇぐらい迷ってたのか？とんだ馬鹿だな？｣

｢月明かりも少ししかない真っ暗の中で迷わない方が無理じゃない…？そっ、そう言う君は何で此処にいるの？｣

｢………、｣

(あ、しまった。地雷踏んだ)

途端にサスケの取り巻く空気がピリピリとしたものになり、安直に触ったら怪我では済まないと本能が訴えていた

……馬鹿だなあたし
こんなド深夜に入る事も出来なくなったかつての故郷にわざわざ訪れる彼の理由なんか一つしか無いじゃないか。傷だらけで何度も豆が潰れたであろう努力した掌(・・・・・)、盲目な復讐者だとしてもこの少年は朝から晩まで修行に励んでいる

何の為に？無論それは

(自分のお兄さんに復讐するため…
そして此処へ来るのは"常に新鮮な憎しみを忘れないため"…)

大好きな兄に家族を殺された
大好き兄が己を裏切った
今のサスケにとって生きる力は兄に対する復讐と憎しみだけ、それだけが彼を動かす動力源なのだ

(｢絶対後悔するよ｣って言ったら怒るだろうなぁ…)

それこそAが全部解ってて黙っていたと知ったら怒る処か恨まれて殺されかねない。易々と殺されるつもりは無いが、こっちは第二主人公(うちはサスケ)を殺せないから色々と分が悪いと思ってしまう自分である

｢本当に面倒臭い奴｣と思いながら取っていた距離を此方から進めて、パーカーに入れていた小さい巾着袋をサスケの片腕を握って無理矢理手に押し込めた。差し出すだけじゃ絶対に受け取らないんだこの負けず嫌い(ウスラトンカチ)は

｢これあたしが作った傷薬、市販より効くから君にあげる。…最後の言葉はごめんなさい｣

｢…なんのつもりだ｣

｢別に？ただ痛いのに痛いって言わないのは(・・・・・・・・・・・・・・)｢強さ｣じゃないよ。強がりは本当の強さじゃない｣

｢ｯ‼︎何だと……！｣

黒曜石よりも黒い瞳に殺意を帯びたままサスケは殴りかかってきた

しかしずっと修行の日々を何十年も過ごして来た自分にとっては受け流すのは簡単で彼の拳は当てる障害物をなくして空を切る。瞳を瞠った時にはもう遅い。Aはサスケの後ろに回って大きく距離が開いていた

｢なっ…⁉︎｣

｢じゃあね、おやすみサスケ｣

｢次学校で後ろから睨まれるかなぁ｣と悩みながらAは帰路へ向かって走る。正直サスケは余り怖くは無いが……彼の過激派達を怒らせることだけはしたく無いのだった

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