｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿肆. (ページ24)

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真夜中の報復者＿＿壱ページ24

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｢魔遁・御魂読(みたまよみ)の術｣

(……やっぱり事件で死んだ人達の思念すら感じない…誰も彷徨ってないなんて)

南賀ノ神社から出て居住区を出る前、Aは剣印を結んで辺り一体に件の事件で死んで死に切れない魂が無いか確かめたがそれらしい存在を確認出来なかった

この術は簡潔に言うと付近に幽霊が居ないか確かめる術だ。術を行使する際に取り込む自然エネルギーを利用して人ならず者を探る術。だがどうも変だ、うちはの事件が起きたのはつい最近…無念の魂と思念(幽霊)が彼方此方に居てもおかしくないのに

｢何かあったか？｣

シスイの問いに否定の意味で首を横に振る
無言の答えにシスイは一拍間を空けて｢そうか…悪い｣と頭に手を置いて慰める様に撫でてくれた。それに｢嗚呼本当に優しい人だなぁ｣と骨身に沁みて思う

｢｢！｣｣

…そうして出口に差し掛かった時だった

まだ距離はあるが此処に向かう人の気配が一つ
Aはシスイと目配せをしてシスイを側から離れさせる。此処に近づく者が誰であれ生きている事がバレるのは不味い

(あっちは気配を消してない…"蜂会うな")

今や無人のうちはの居住区に近付くもの好きな奴は誰だ？…心霊スポットに肝試しみたいな馬鹿だったら一発殴ってもバチは当たらない気がするんだが

貼られた黄色いテープを来た時同様跨いで乗り越える。乗り越えたAの視線の先、無人の居住区に近付いた黒髪黒目に黒長袖シャツに短パンの少年＿＿＿＿"うちはサスケ"は出て来た自分の姿に、動揺と怒りの視線を容赦なく向けていた

(何となく予想してたけど…あー…これ拗れかねないなぁ…)

｢えっと、確か君はあたしの上の席の…｣

｢何でテメェが此処にいる転校生｣

・・・こっちが言い切る前に問い質したよコイツ

因みに一応認識はされていたらしい
普通なら｢あの無関心のサスケが珍しい｣と感心してるだろうが今この状況で感心もクソもへったくれも無かった。目が完全に殺意百%で草も生えない！

(助けてシスイさん！助けちゃ駄目だけど！)

とてつもなく逃げてしまいたい
でも逃げたところで学校で会う事になるし
｢逃走｣する手段はその疑いを肯定する様なもの故悪手であるのだ

退路は塞がれたも同然

話をまともに聞いてくれそうに無い盲目な復讐者にどう言い訳すれば良い？

｢え、えーと…………散歩してたら道に迷った…？｣

我ながら何とも捻りのない答えだと思う
もっとマシな嘘は無かったのか自分
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