｢勇んで戦う者｣ノ御記＿＿肆. (ページ11)

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｢四人目｣＿＿弐ページ11

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街からやや離れた森の中木の太い幹に佇む者が一人
身体全体を覆うくすんだ鈍色の外套に黒鴉のハーフマスク。フードを深く被っている上、鼻から下だけしか見えない為性別は分かりにくい＿＿＿＿｢三栖Aの護衛｣は、この五日間彼女の様子を見ていた

｢見ていた｣と言うより｢護衛していた｣と言う方が正しいか。木ノ葉の上層部の"密命"で｢三栖Aの護衛をせよ｣と｢任務｣を出されたのは"久しい"

(ずっと病床ってのも落ち着かなかったからな…にしても｢オレ｣が護衛とか勤まんのかな？こんな状態で(・・・・・・))

ハーフマスクに手を掛けて｢男｣は
包帯で巻かれた(・・・・・・・)目元に触れる

…そこにはある筈の人間の五感の一つは無く
窪んだ二つのソレが痛々しく残っているだけであった

｢………、｣

一つは奪われ…一つは友に託した

故に男には此処に広がる｢景色｣は見えない
こうやって五感の一つを失っていながら果て見えぬ暗闇の中で動き回れる様になったのも、残ったものの感覚を最大限に尖らせて後は今迄培って来た経験でモノを言わせれたからである

見えなくとも気配で解る様になったから
でもやっぱり時折色ある世界を見れぬ事が口惜しく…

｢＿＿＿＿あ！護衛さんみーっけ！｣

｢ｯ！？！？｣

ビクゥッ‼︎と護衛自身もこれまで生きていた中で一番驚いたのでは無いかと思う程、両肩を大きく跳ねさせた

油断していた？気付けなかった？
五感の一つを失ってから人の気配に何よりも敏感になるよう訓練していたのに？護衛対象者の方が男より上回って気配を絶っていたのか？

(三代目達はああは言っていたが(・・・・・・・・・)確かこの人にそんな忍びの才は…)

｢あれ？暗部の仮面じゃない…？お兄さん名前と素顔伺ってもいいですか？護衛の方と顔も名前も知らないままが嫌なんで｣

だのに彼女はいつの間にか木を軽々と登って目の前に居る。聞いていた話と違う、三代目火影達はこの少女の事を｢忍の才は無かった｣と…

鴉の仮面に手を掛けられた
不味い、こんな状態の自分を見られてはきっと気分を害してしまう。だが時既に遅し。フードは仮面が取れるのに合わせてパサリと落ちてしまった瞬間、彼女は途端に声色を変えて言ったのだ

｢"シスイ"、さん…？｣

まるで此処に居るのが有り得ないと言わんばかりの声音に、Aの護衛を任されたうちはシスイ(・・・・・・)は訝しげな顔をした

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