灰色の化物は他世界を歩む【バトスピ】part2

人殺しと臆病者(クロハside) ページ39

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随分自虐的な奴だ｡






クロハは率直にそう思った

こんな奴があのタツミのご先祖だなんて
疑いたくなる



それ程、違いすぎるのだ







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｢お前……本当に勇者?｣


シ｢うん…一応
　僕､臆病だからよく周りから向いてないって言われてたし

　でも……ウロヴォリアスが僕を主として
　認められてたからやめるにも……ね｣






｢ああでも｣とシレンはクロハを見て
思いがけない事を言った







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シ｢君も勇者だよ、クロハ君｣


｢はぁ?俺は十二神皇に選ばれてねぇし
そもそも………無理だろ…｣





自分は……人殺しだ


自分が生きる為、存在し続けたいが為に
メカクシ団の人間を殺し
マリーに夏を繰り返しさせた






本当は残酷で無慈悲な悪党……








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シ｢……じゃあ…今､何で君は戦ってるの?
　クロハ君……"今"君が守りたいのは何?｣




まるで見透かす様に

クロハが思っていた事を否定する様に
シレンは見つめ、そう言った






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｢!!
俺が……守りたいのは…｣







願いを叶えなくとも
生きられるようになったこの体



生以外に初めて……興味が湧くことが出来たこの世界



初めて……純粋に人と関わって



初めて……熱中出来る物が出来て



初めて……誰かを許さないと思って






奈瑞菜に救われたこの命で見た景色は
何もかもが素晴らしすぎた


無くすには惜しすぎて

いつか無くなるなんて怖くて……





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"守りたい"








｢奈瑞菜を＿駿太やヨク、メイ､エト､キノト
ミトラ､カルデア､エヴァ､アダム＿＿……

俺は仲間を……この世界を守りたい
邪神皇の好き勝手には絶対にやらせねぇっ……!!｣






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シ｢……その思いがあるならクロハ君は勇者だよ
　十二神皇に選ばれたから勇者じゃない
　十二神皇はその思いに応えただけ

　本物の勇者は……大切な物を
　守りたいと言う思いがあってこそだから｣




キャスケットを再び被り
嬉しそうに、照れくさそうにシレンは笑った

数歩離れると言う









シ｢臆病な僕でも守りたいものがあったんだ
　だからウロヴォリアスは僕に応えてくれたんだと思う

　…じゃあまたね、クロハ君
　僕達勇者は､いつも君達を見守ってるよ…｣








砂が崩れる様にシレンは霞の中へ消えていった
すると霞はそれを待っていたかの様に消えてしまった


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