灰色の化け物は他世界を歩む【バトスピ】

知れば後戻りは出来ない(クロハside) ページ45

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ヨクのゲイルフェニックスが
イヌイに奪われた

その影響か外は豪雨に見舞われている



さっきまで太陽がギンギラと輝き
暑かったのが嘘の様だ







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扉越しから聴こえるエトの話に耳を傾けつつ
クロハは引きこもり状態になっている
ヨクの部屋に居座っていた


羽根をもがれた鳥が飛ぶのを諦め
喪失感で燻っている様にクロハには見える





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それでも闘志が消えた訳では無い


何か言いたげで、何かを堪え
動きたい思いを抑え……………





憤りを感じながらも
それを表に出すのはまだだと、出す相手は
他に居るんだと…








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ヨ｢＿クロハ｣


｢ん｡｣





ヨ｢俺は…負けた
　弱かったみたいだ｣


｢みたいだな、"敗戦"したからなお前｣


ヨ｢あぁ、完全に"敗戦"した
　ゲイルフェニックスを取られた俺は随分格好悪い｣






｢じゃあ…格好良くならないとな
取り返そうぜ、ヨク
＿お前の大切なゲイルフェニックスをよ｣








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取られたなら取り返せ







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やられたならやり返せ







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弱いなら強くなれ








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これは"敗北"じゃない

敗北は全てが終わってしまったと
言っているものだから



だからこそ、クロハは｢敗戦｣と言う言葉を
再起し､もう一度望める様にと意味を込めて言った








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昔の自分じゃ絶対言わない事だ
クロハは少し間を開けてから心の中で苦笑する




奈瑞菜に助けて貰う前の自分なら
きっと嘲笑うだろう

ふと、奈瑞菜に｢丸くなった｣と言われたのを思い出した








(当たり前だろうが…)








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優しさに触れてしまったのだから


それがどれ程暖かいものなのか
気づいてしまったのだから





大切なものが出来てしまった
もう、後戻りが出来ないくらい自分は…






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失いたくはないと思ってる









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ヨ｢＿＿ハ、クロハ｣


｢(ﾊｯ!悪い、さてと…奈瑞菜達んとこ行くか｣









蹲る姿勢でいたヨクは立ち上がり
もう、燻る気配もない


クロハはふっ､と笑うと
ドアノブに手を掛け、引いた






ドアを開けた先に居るのは仲間達だ





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