灰色の化け物は他世界を歩む【バトスピ】

暗いところからの夢 ページ3

.

??｢＿＿か……









.









　聞いとるのか!｣



｢(ﾊｯ!あ…聞いてる｣







これは…夢だ
隣に薊が居るなんてあり得ない

それでも少し…安心してしまう自分がいた









.









薊｢本当に気味が悪い事を言う
　私を近くで眺めたい等……｣





ムスと腕を組ながら薊は愚痴を溢す

見れば此所は森の開けた一角だった
草原が広がるこの場所で一人の青年………


後に薊の夫となるツキヒコがせっせと
木材を運んでいる









そうだ、この景色…
薊がツキヒコにこの場所に家を建てろと無理な事を言って
それでもツキヒコは家を建てる事にしたのだ

嬉しそうに｢君のためならそれくらいなんでもないさ!｣と



今思えばツキヒコは薊の側に居るために
口実が欲しかったのかもしれない









.









.









(あそこまで真っ直ぐな人間……初めて見た)



そう言えばこの時、私は何て言っただろうか?
大した事を言ってはいないので忘れてしまった









どうせ夢だ

未来等変わらないだろう、構わない。









.









.









｢……ツキヒコ…薊が……………"大好き"だから…｣



『薊』あの頃は自分も薊も名前が無かった
人間から呼ばれてたのは"化け物"

後々、ツキヒコが名前を与えてくれたのだった









.









.









.









.









.









もしも、薊がもっと前に
ツキヒコの気持ちに気付いていたら、







もしも、私がもっと前に
双子の悲しみに気付いていたら、









.









もしも、繰り返される夏の日を
どうにか出来たなら……









.









.







そしたら、何も無くただただ平凡な生活


薊とツキヒコとシオンとマリーと…









.









.








平凡で幸せな…そんな運命を
進めてたんだろうか？





.

クロハ→←不思議な気紛れ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す