検索窓
今日:20 hit、昨日:8 hit、合計:327,503 hit

42.1ヶ月 ページ43

日付は3月8日。

 卒業式があった日だ。

藤堂「…俺達が卒業式に行ってる間に、出て行ったってことか?」

山崎「…そうだろうな。あの日は誰も、寮に居なかった」

 しばらく呆然と立ち尽くしていると、ふいに後ろから声をかけられた。

斎藤「そこで何をしている?」

沖田「確かこの部屋は、あいつの部屋だったと思うけど?」

 部屋に入ってきたのは、私用で出掛けていた筈の沖田と斎藤だった。

斎藤「普段閉まっている扉が開いていると思えば…」

沖田「それより、あいつは?あいつの部屋だよね?ここ」

 部屋を見回しながら、沖田は不機嫌そうに言う。

 斎藤も同じように部屋を見回す。

 しかし、この寮から姿を消してしまっているAがいるばずもない。

 不思議そうにしていた沖田と斎藤は、藤堂と山崎の周囲に散乱しているモノたちに気づいた。

沖田「…なにこれ。僕があげたリボンじゃない」

斎藤「俺があいつに買った手袋もあるな」

 状況が呑み込めない2人に、藤堂は震える声で教えた。

藤堂「Aは…Aはこの寮には居ない。……出て行ったんだよ!」

 最後の方は、怒鳴りつけるようにして言った。

 少しの沈黙が流れる。

沖田「………は?」

斎藤「……何を言っている?」

 この2人は、現状を理解できていないらしい。

 馬鹿馬鹿しいというような顔をしていた。

藤堂「…居ねえんだよ。何処にも。コレだけが机に置いてあった!!」

 藤堂は、山崎の持っていた退学届けを奪い、沖田の胸にドンッと押し付けた。

 最初こそ不機嫌そうだった沖田も、読み終わった頃には、どことなく顔色が悪くなっていた。

 それはそうだろう。

 いくら嫌っている相手でも、今までずっと一緒に過ごしてきたのだ。

 それこそ、保育園の頃から、ずっと。

 それなのに、居なくなっていた事にも気づけていなかったのだ。

 彼女が居なくなってから、もう1ヶ月は経っているというのに。

43.泣いていた→←41.退学届け



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (378 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
483人がお気に入り
設定タグ:黒子のバスケ , 薄桜鬼
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

沙夜(プロフ) - あすあすさん» 返信遅れてごめんなさい。応援ありがとうございます!主人公書いていただけるんですか??とっても嬉しいです(*´ー`*) (2015年8月16日 19時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - はるはさん» 返信遅れてごめんなさい。応援ありがとうございます!名前、沙夜に変えました! (2015年8月16日 19時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
あすあす(プロフ) - 初めましてあすあすです。とっても面白いです!これからも頑張ってください(^∇^)もし良かったらですけど…主人公描いてみてもいいですか?ダメだったらいいですけど (2014年4月18日 20時) (レス) id: d24780b6ce (このIDを非表示/違反報告)
はるは(プロフ) - おもしろいです。更新頑張ってください (2014年3月2日 21時) (レス) id: d7e914d800 (このIDを非表示/違反報告)
ようこちゃん(プロフ) - お礼をいうのは私です。楽しみです。 (2014年1月1日 15時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:沙夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/  
作成日時:2013年4月15日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。