29.証拠 ページ30
Aがゆっくりと目を開けると、そこにはもう、先ほどの狂ったような光景はなかった。
代わりにあるのは、自分を取り囲む大勢の人間達。
そう、バスケ部のみんな__。
貴方「…?」
状況が理解できずに、ただボーッとしていると、Aが起きたことにいち早く反応した桃井が 声をあげた。
桃井「Aちゃん!目が覚めたの!?」
ぎゅっと何かに左手を握られ、Aはのろのろと視線を移した。
Aの左手を握っていたのは、桃井だった。
リコ「Aちゃん!大丈夫!?」
反対側の右手は、リコが握ってくれている。
周りのみんなも、心配そうにAを見ていた。
貴方「(あ、そっか…。私、奈々ちゃんが死んだニュース見て、倒れちゃったのか)」
Aはゆっくりと起き上がり、精一杯の笑顔を“作った”。
貴方「大丈夫です。ご心配おかけしました。亡くなった女の子、知り合いだったのでびっくりしち ゃって」
そんなAを、バスケ部のみんなは、真剣な目で見ていた。
黒子「Aさん。あの、勝手なことだと思いますけど、高尾君から全部聞きました」
瞬間、Aの動きが止まった。
高尾「ごめんね、Aちゃん…。でも、此処にいるみんななら、信用していいと思うんだ」
少し離れたところから、高尾が強い瞳で、はっきりと言い切った。
・
・
しばらく、時間が止まったようだった。
いや、Aの時間は、止まっていたのかもしれない。
気がつくと、Aは無表情になっていた。
リコ「Aちゃん?」
リコが心配そうに覗き込むと、Aは口元をにやりと歪めた。
しかし、その瞳に光はない。
貴方「信用?ふふっ。そんなの、出来るわけないですよ。高尾君から聞いたのなら、もうみなさ ん、私がどういう扱いを受けてきたのか知ってるんですよね?心配そうな顔して、本当は心 の中で嗤っているんでしょう?」
桃井「そんなわけっ貴方「ないと言うんですか?」」
貴方「信じられませんね。本当は、私が奈々ちゃんを苛めたと思っているんじゃないですか?」
光を宿さない、ただただ真っ暗な瞳で、Aは全員を見据えた。
日向「…どうしてそう思うんだ?」
貴方「私が苛めてないという証拠は、何処にもありません」
ふふっと、自虐的に嗤ったAは、泣いているようだ。
伊月「でも、Aちゃんが苛めた証拠も、ないだろ?」
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沙夜(プロフ) - あすあすさん» 返信遅れてごめんなさい。応援ありがとうございます!主人公書いていただけるんですか??とっても嬉しいです(*´ー`*) (2015年8月16日 19時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
沙夜(プロフ) - はるはさん» 返信遅れてごめんなさい。応援ありがとうございます!名前、沙夜に変えました! (2015年8月16日 19時) (レス) id: 89126b3f93 (このIDを非表示/違反報告)
あすあす(プロフ) - 初めましてあすあすです。とっても面白いです!これからも頑張ってください(^∇^)もし良かったらですけど…主人公描いてみてもいいですか?ダメだったらいいですけど (2014年4月18日 20時) (レス) id: d24780b6ce (このIDを非表示/違反報告)
はるは(プロフ) - おもしろいです。更新頑張ってください (2014年3月2日 21時) (レス) id: d7e914d800 (このIDを非表示/違反報告)
ようこちゃん(プロフ) - お礼をいうのは私です。楽しみです。 (2014年1月1日 15時) (携帯から) (レス) id: 29bc6add98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙夜 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/annzuamenoheya/
作成日時:2013年4月15日 23時