其の九 ページ10
貴方side
貴「お邪魔します・・・」
太「気にしなくていいのだよ、今日から君の家になるのだからね」
貴「あ、はい・・・ありがとうございます。」
太宰さんは「いいよいいよ」等と軽く返事をしながら私に一通り部屋の場所を
案内してくれる。
貴「・・・大体、わかりました。」
太「そうかい、ここが台所だからね」
貴「はい、早速お借りしますね」
太「あぁ私はそこで待っているからね」
貴「はい、すぐ出来ますので」
太「それは楽しみだ」
私は太宰さんに背をむけ袖が邪魔にならないように腕をまくり
麺を茹で始めた
貴「っ・・・！」
不味い。
ちょっと鍋から目を離し具財を切っていた時の事だ。
鍋の取っ手に肘が当たったらしい。
鍋が落ちる大きな音と共に私の足にはとてつもない熱さが伝った。
太「大丈夫かい！？」
すぐ太宰さんが台所に顔を出し私に近寄る
貴「鍋で沸騰してたお湯がひっくり返ったのでそこ、危ないです。」
太「そんな事はいいのだよ、君怪我をしているだろう？」
太宰さんの言葉に私は顔が引きつった
貴「あ・・・それは・・・」
太「台所の片付けは後でするよ。歩けるかい？」
太宰さんは私に手を差し出した
貴「すいません。」
立ち上がろうとした矢先、足に激痛が走った
貴「っ・・・」
私は顔をしかめてしゃがみこんだ。
太「痛い思いをさせてしまったね、ごめんね？」
そう言うと太宰さんは軽々しく私を姫様抱っこした
貴「そんな・・・！良いですよ、悪いです・・・！」
太「良いから」
私を抱える太宰さんの横顔は真剣な顔をしていた。
あぁ、迷惑をかけてしまっているのだなとふいに思った
そして私はリビングまで運ばれた
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作者名：クロエ | 作成日時：2017年5月13日 12時
