天才作曲彼女【笠松幸男】 (ページ1)

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第１話ページ1

『ﾄﾞﾄﾞﾚﾌｧ…』

「ほら、またあの子何か言ってる」
「きんもーいっ」

普段のこと。
いつも通り。

作詞作曲している時はどうしてもそうなってしまうのだ。
声に出さないとイメージし難いし。

『うん、ここは八拍子で・・・』

どんっ!!

『きゃっ!?』

廊下の曲がり角、誰かとぶつかり、尻餅をついた。

手に持っていた教科書、ノート、
それからいつも持ち歩いている五線譜ノートとルーズリーフが散らかる。

「わ、わりぃ!!」

ぶつかった人と一緒になって散らかった物たちを拾い集める。

と、ぶつかった彼のノートを手に取ろうとした瞬間、その彼と手がぶつかった。

『ご、ごめんなさいっ』

男の人に免疫のない私はきっと真っ赤なはず。
恥ずかしくて下を向いて、手を引っ込めた。

『すっすみませんでした!!』

下を向いたまま恥ずかしくて逃げ去った。