逃走、雨、頭を打って星を見る。 ページ7
「んーっ」
やっぱり外は気持ちいい。
外出許可をもらって、久々の外。
梅雨の時期だけど、長袖。
他人に見せたくないものだったり他人に見られるのが嫌だったり。
だから、長袖だったり。
ぽつぽつ…。
「うげ、雨だ」
降水確率なんて知らなかった。
ただ今日は止めとけば?なんて和成が一瞬引き留めた。
言ってくれればいいのに。最悪だ。
服はぐっしょり濡れて、重くなってきた。
「うわっ…!」
ずるり、と足が滑って、もつれて、転んで。
膝を擦りむいた。痛い。雨がじわじわとしみる。
でも今は、転んだことより頭の中を占めているものがあった。
【和成から、逃げなきゃ。】
雨は勢いを増して、僕に襲い掛かる。
雨で周りがよく見えない。
「はっ…、はぁっ…」
『無駄だよ』
「!」
なんだ?空耳か?でもあれは確かに、和成の声。
『お前は俺から逃れることはできない』
ねっとり、執着した和成の声。
「でも、逃げなきゃ…」
ガタンっ!
「え……!?」
どうやら目の前は階段だったようで。
僕は盛大に、足を踏み外した!
転んでまわって、滴る水に混ざる赤。
どうやら頭から血が出ているらしい。
頭を打つと星が見える、というのはあながちウソではないらしい。
キレイな星が見えるよ。目の前に。
その星は輝かずに、僕に話しかける。
「大丈夫か?」
…たしか、コイツは
「ザキ、くん。」
「…とりあえず、俺んち、来るか?」
逃げ場発見。
「ありがとう、弘」
一番の安全策に涙と笑顔。→←生きてきた、生きてこれちゃった僕。
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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/
作成日時:2013年7月19日 21時