検索窓
今日:8 hit、昨日:0 hit、合計:11,881 hit

残り5日、おかゆと右手。 ページ20

目が覚めるともう翌日になっていた。
周りを見渡してみても、瀬戸クンはいなかった。

あと5日で僕の人生…幽生が終わってしまう。
どうするべきなのかはわかっている。
ならばそのやるべきことをやるだけだ。

「入るぞ」

ドア越しに声が聞こえる。声の主は―。
ザキくんだった。

「どーぞー」

「…別に何も変わってねぇのな」

「別に…残りの時間を楽しむだけだよ」

ぱたん、と読んでいたグリム童話を閉じる。

「君なら…焦る?有効に使う?無茶な事でもする?」

なぁんて。
少しだけ悪戯してみる。

そしたら、そしたら君は。

「俺か……とりあえずアルバム燃やす」

ぷふっ、と小さな笑いが口からもれる。

「恥ずかしい思い出でもあるの?」

「たくさんありすぎて困るくらいにはな」


そうこう話しているうちに、お腹がすいてきた。

「ザキくん、ごはんごはーん」

「俺は飯じゃねぇぞ!!」

ぶつくさ言いながらも、ご飯を用意してくれるザキくん。
将来はいい奴になりそうだ。うん。

「ほらよ」

かたん、とお椀が置かれる。
中身はもちろん、おかゆ。

「…あれ。」

「ちょ、ザキくん、何で卵混じってるの?卵かゆをリクエストした覚えはない」

はぁ!?と少し遠くで声が聞こえる。

「そんぐらい我慢しろっつの…!」

別に卵が苦手なわけじゃない。
ただ今日は、食べたくないだけで。
ザキくんに、するする、と卵とおかゆを分けてもらった。
よし、食べよう。

え?喉?
大丈夫、と或る療法で回復したから。

「あー…ザキくん」

「何だよ…まだ卵があるって?」

「違う違う」

じゃあ何だよ、と口を尖らせる君。

「実は今日、右手が使えないんだよね。
で、左手で持つの嫌だから食べさせて」

「マジかよ…。ったく、口開けろ」

あー、と口を開けておかゆを食べる。
毎回思うがザキくんのおかゆは不思議と美味しい。


お昼も食べ終わり、外はもうすっかり暗くなった。
食べるスピードが遅いだとかいうんじゃないぞ。
季節はもう冬だ。日が落ちるのはとてつもなく早い。


今日はなんだか体がだるい。早く寝よう、とベッドに入る。

5分くらいしただろうか?かちゃ、とドアが開いた。
…ザキくんだろうか?部屋が暗くて全く見えない。
どうやらこちらに近づいてきているようだ。

「――」

腕まくりをされ、キスを落とされる。

ザキくんはすぐ部屋を出て行った。
なにが「悪ぃ」だばーか。

【腕へのキスは、恋慕の意味】

ケンカと天才による石に躓いたときの回避方法→←空想世界の中の僕と君。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (52 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
26人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/  
作成日時:2013年7月19日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。