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持てなくて、キスをする。 ページ15

花宮クンとショッピングモールに行った、その翌日のことだった。


僕は、体調を崩した。

特に生活バランスは乱していないし、一応だが運動もした。
だったらなぜ、体調を崩したのか…。
僕は全く分からなかった。悪いことなどしていなかったのに。

神様はひどいんだなぁ、と思った。
せっかく、解放されたのに。ひどい奴だ。

がちゃり、とドアノブが回され、ドアが開く。
そこにいたのは、


一匹の狐だった。
尻尾は九つに分かれており、ただならぬ妖気を放っていた。

九尾の狐。簡単に言えば妖狐のたぐいだ。
もっと簡単に言うと、妖怪。妖怪の狐。

何故狐がこんなところに、と思った瞬間に声がした。

「ああ、すまないな」
「元に戻るのを忘れていた」

古橋クンだった。狐、が古橋君なのか?
……駄目だ、もうよくわからなくなってきた。
最近いろんな超常現象にぶつかりすぎではないだろうか、本当に。

「おい」
「いらないのか?」

どうやらおかゆを持って来てくれたらしく、
僕はそれを受けとろうとした。


のに。

取れない。持とうとしても持てない。
するする、とお椀がすり抜けてしまう。

「…やっぱりか」

と、古橋クンは何かを悟っているような口調で言った。

「少しだけ、我慢しろ」

そう言ってから、古橋クンは――、


僕に、キスをした。

急のことだったので驚いたが、
また何かの思い出がふつふつと出てきた。

『またか…なにをどうすればこうなるんだ…。』
『ごめん、妖狐』
『べつにいい。たいないからすればいいはなしだ。
すこしだけ、がまんしろ』

そこで思い出は途切れた。またしても大事な記憶だったのは間違いない。

ぐらり、と体の力が抜ける。
そして、肩が重くなる。…憑かれたのか?

『おい』
『さっさとお椀を持て。そして食え。』

「あー…。もしかして体内から精神張ってくれてるんですか?ありがとうございます」

このまま10分くらいたった頃。
僕はおかゆを食べ終わり、また寝た。

起きたら翌日になっていた。

一向に体調は良くならなかった。
悪化していく一方だった。
苦しかった。辛かった。

でも、消えることは許されないのだ。

秀才と凡人のなぞかけ。→←15年前の、と或る事件。



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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/  
作成日時:2013年7月19日 21時

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