【黒バス】見える？そんなの気分次第【花宮真】

15年前の、と或る事件。 ページ14

ザキくんが入院してから、4日がたった日の午後。
僕は花宮クンに連れられて、ショッピングモールに来ていた。

「…なんで僕を連れていく気になったんです？」

「別に。」

言葉の返し方がそっけないのは、この人の癖なのだろうか。
さっきからずっと、別に。とか、そうだな。としか言っていない。
話せないじゃないか。
なんなんだ？英語は喋れるけど日本語は…なんて、そんなことはない。


…ちょっと待て。
なぜ僕は花宮クンと話そうとしている？
別に話さなくてもいいのに。馬鹿か。本日最高級の馬鹿だ。
というか、なぜこんなにも『ドキドキ』しているんだ？

「聞いてんのか！」

ぺし、と頭を殴られる。そこまで痛くない。

「何？」

叩かれた場所を押さえながら、花宮クンに問う。

「ちょっと店の中入ってろ」

どうやら、知り合いに遭遇したらしい。
黒髪のメガネをかけた、関西弁の男だった。
どこかで見た気もするのだが、まぁいい。


適当に家電店の中をうろうろしていると、テレビが売っている場所に着いた。
放送していたのはニュースだった。
どうやら、15年前に起こった事件と奇跡の生還について、特集しているらしい。

『15年前に行方不明になったのは、この11人です。』

ニュースキャスターがそう言い、画面が切り替わる。

『霧崎第一高校の瀬戸健太郎さん、花宮和泉さん、花宮真さん、原一哉さん、古橋康次郎さん、山崎弘さん、
秀徳高校の高尾和成さん、宮地清志さん、桐皇学園高校の今吉翔一さん、
誠凛高校の木吉鉄平さん、洛山高校の実渕玲央さんが今から10年前、
死体となり見つかりました。』

なんだか気持ちが悪かった。霧崎第一高校、それは花宮クンたちが通っている高校だった。
それに、霧崎第一の行方不明者、いや、死体と【同じ名前、同じ容姿】の人たちが周りにいる。
めまいがした。
ニュースキャスターは、話を続ける。

『ですが、この11人は奇跡の生還を成し遂げました。
殯(もがり)の期間もあり、身体は腐敗していたのですが、生還後は腐敗の跡は無かったそうです。』

…何かが頭をよぎった。
OKサインを出す、真っ白な少女。それと、古橋クンに似た少年。
すぐに消えてしまったそれは、何だったかわからない。
ただ、大切な何かだった。


しばらくして、花宮クンが戻ってきた。
その時にはもう、特集は終わっていた。

持てなくて、キスをする。→←責任、そして動き出す空気。

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