甘えと声と肩、それと顎。 ページ12
そっ、とザキくんの病室のドアを開ける。
病室にザキくん以外の人はおらず、しんとした空気だった。
君は僕に気付かずに、ただぼーっと、していた。
僕のせいで。
君は、和成に襲われた。
僕のせいで。
君は、不幸者になってしまった。
消えるしかないのだろうか、解決策は。
僕が消えたら、僕が消えたら、君は不幸じゃなくなる。
怪我もそこまでしなくなる。
僕が消えたらいいことなんだよな？
「…大丈夫？」
「うぉ！？いたのかよ、おま「ねぇ」
「僕は、僕は、消えた方がいいんだよね？」
ザキくんが言いおわる前に、僕が言葉を被せる。
「よくわかんないんだ、君は、僕が、消えて、ほしいと思う？」
我ながら馬鹿な事を聞いていると思った。
どうせここで引き留めてほしいだけなのに。
「何言ってんだよ、俺がそんなの思うわけねぇだろ」
照れくさそうにいう、ザキくん。
がらら、と病室のドアが開けられる。
花宮クンに、オールバックの人に、無表情の人…？
「どうも」
僕を見たとたんに、花宮クンがつかつかと歩み寄ってくる。
それから、手を思い切り、握られる。痛いんですが…。
「痛いか？」
「…痛いですが」
何がしたいんだ、こいつは。
僕が痛いといった瞬間に手を離し、こんな事を言った。
「だとよ、高尾和成」
ドアのところに、和成が立っていた。
怖い。意識なんかしていないのに、後ずさってしまう。
君もまた、僕につかつかと歩み寄る。
来ないで。その一言が言いたいのに。
「ゃだ…こ、ないでっ……！」
ぎゅ、と花宮クンの肩をつかみ、背中の後ろ側に隠れる。
手が震える。がたがた。
「これでわかったか？Aはお前を怖がってる。近寄んな」
「そんなことねぇよ」
なぁ？と和成がこっちに同意を求める。
僕は凍りついたみたいに、動かなかった。
いや、動けなかったのだ。
和成に見据えられて。蛇に睨まれた蛙、といったところか。
ゆっくりと口を開く。
「か、帰って、下さい…。僕、は、僕は、正直な、話、和成が、怖い…」
言ってしまった。もう後戻りはできない。
言葉は言ってしまったら元に戻せないから。
手に力が入る。花宮クンの肩をさっきより少し強い力でつかむ。
「へぇ…。じゃあいいや。」
く、と顎を傾けられる。
そして耳元でこう、囁いた。
「お前の代わりなんて、たくさんいるから。」
その言葉を聞いてしまった瞬間、僕の何かが切れた。
責任、そして動き出す空気。→←譲れない不幸者と悪魔な天使、それと疑問符。
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霧崎沙流＠天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (
レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流＠天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります．更新がんばってください！ (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります．更新がんばってください！ (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霧崎 沙流 | 作者ホームページ：http://yaplog.jp/kirisaki73/
作成日時：2013年7月19日 21時
