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譲れない不幸者と悪魔な天使、それと疑問符。 ページ11

「…用件、何すか?いま俺忙しいしささっと終わらせたいんで」

「Aを返せ。それだけだ。」

空気が固まる音を聞いた。
ピシッ、とかそんなちゃちなもんじゃなかった。

「はぁ、花宮サンもっすか?」

ゆっくりと和成が僕の手を放して、口を開く。

「いくら花宮サンでもこれだけは譲れねぇよ」

「へぇ?じゃあ何でAに暴力をふるうんだ?」

オールバックの人が手に巻いてあった布を外してくれた。
「できるか?」と針金を渡されたので僕はうなずき、足の重りを外した。

「いいか?お前はさっさと佐々木総合病院へ行け。ザキが305号「……嫌だ」
どうしてだ?」

「僕のせいでザキくんは怪我を負った。
僕なんかには会ってほしくもないだろう!?」


「みんな僕から離れていくんだよ、気持ちが悪いって、気味が悪いって!
僕が近くにいると不幸者になるんだ!
怪我なんかはしょっちゅうだし、いくら天気予報が晴れだと言っても雨が降るんだよ!?」

すらすらしゃべっていて、気持ちが悪かった。気味が悪かった。
自分自身が不幸者の気がしてなかった。

生きているだけで邪魔者扱いされて、神様にさえ愛されていないんだよ。

生きていても無意味。消えたかった。消えてしまえば僕の周りが平和になると思った。

「後で聞いてやる、ザキはお前に会いたがってんだよ。さっさと行け!」

すっ、と壁の方向に押し出され、壁の中を通る。もはや幽霊になっている気がする。
そのまま壁の中で和成と花宮クンの会話を聞いた。

「べつにいいじゃん、暴力くらい」
「アイツは痛いとも何とも言ってねえんだ」

「お前が怖くて言えてないだけだろ?
Aは『痛い』なんて言わねぇ。けど必死に目で訴えてきてるぜ?」

「それくらい俺でも気付いてるっつの。あれは『痛い』なんて言ってない」


「『疑問符』、それしか思ってない」
「なぜ俺にこんなことをされるのか、なぜ俺がここにいるのか。そういうことだよ」

「……んで?いつになったらA、だっけ?を返してくれるんだ?」

「はじめに言っただろ?これだけは譲れねぇよ」

「悪いが俺たちも譲る気はない。…花宮、ザキが起きたぞ」

新しい声が聞こえた。誰だ?
それより、ザキくんが起きた……?


急がなければ。はやく行かなければ。

すっ、と壁を完全にすり抜ける。


佐々木総合病院は有名な大病院なので、場所はすぐわかった。

甘えと声と肩、それと顎。→←もしかして、もしかしたら、ショートした頭。



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霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - [忘却王]れおさん» 面白かったですか…。とても嬉しい限りです。こちらこそ、この作品を最後まで読んでくださりありがとうございます。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
[忘却王]れお(プロフ) - 完結おめでとう。すごく面白かったです。終わらせ方も好みでした。ありがとうございました。 (2014年3月29日 22時) (レス) id: 8ad14d2c12 (このIDを非表示/違反報告)
霧崎沙流@天ぷら系女子(プロフ) - ★黒猫★さん» コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2014年3月20日 18時) (レス) id: 212878b2bc (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)
★黒猫★(プロフ) - 続きが気になります.更新がんばってください! (2014年3月20日 16時) (レス) id: a547ed74fa (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霧崎 沙流 | 作者ホームページ:http://yaplog.jp/kirisaki73/  
作成日時:2013年7月19日 21時

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