【あんスタ】早暁の空【男主】

花見4 ページ9

「くぅっきぃいいいい！！」

『っ！』

大きな盛り上がりを見せてステージを終えた

Trickstarに顔を見せようと舞台裏に行くと、

顔が見えた途端に飛び付くスバル。

その勢いに後ろに倒れそうになる綾を天が受け

止めるが、そんなものは関係ないとばかりにス

バルは綾の胸に顔を埋めて力強く抱き締めた。

「くっきー！くっきーくっきーくっきー！！俺達のステージ見てた！？」

『あぁ、桜に相応しいステージだった…』

顔を上げてキラキラと目を輝かせるスバルは所

謂誉めてほしいと飼い主に飛び付く犬のようで…

激しく揺れるしっぽの幻覚に綾は小さく笑みを

溢すと、スバルの頭を撫でる。

その手を甘受するようにスバルは嬉しそうに頬

を染めて笑った。

「っだぁ！いいっ加減！離れろ！！」

しかし、ずっと二人を支える天には気に入らな

いのだろう…。

バリッと綾とスバルを引き剥がすと威嚇をする

ように綾を背にスバルを睨む。

それに拗ねるようにスバルは口を尖らせた。

「何だよひずみん〜、今くっきーに褒めてもらってたとこなのに〜」

「うっさい！」

「おいおい、お前ら喧嘩すんなって…北斗の次は陽澄とかよ」

スバルと天が睨み合うと、走り出したスバルに

追い付いたTrickstarの面々はそのやりとり呆

れたように苦笑する。

真緒が二人を離すように間に入ると、スバルは

不満そうに頬を膨らませた。

「えー、突っかかって来たのはひずみんじゃん〜」

「ふん！」

『お前もいい加減にしろ』

「あでっ」

間に入って宥める真緒から顔を反らし、反省の

色も見せずに鼻を鳴らす天に手刀を落とすと落

とされた脳天を押さえて踞る。

その姿に綾はため息を溢すと改めてTrickstar

に向き直った。

「黒月、来てくれたんだな」

「ありがとう！黒月くん！」

一先ず天とスバルの一悶着が終わったことに改

めて北斗、真が嬉しそうに頬を緩める。

『あぁ…良いステージだったな』

それに同じように綾が頬を緩めれば、真は照れ

たように頬を掻いた。

「そ、そうかなぁ…！なんだか、黒月くんにそう言ってもらえると照れるなぁ」

『俺だけじゃない、観客の反応がそうだろう…本当に、花見の席に相応しい楽しいステージだった』

やはり、指導者として指導し見守ってくれた…

それも、１年生の頃から憧れていたCieloの綾

が誉めてくれているのだ…嬉しくないわけがない。

綾の言葉にTrickstarの面々は顔を見合わせる

と嬉しそうにはにかんだ。

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