【拝啓】二次元の勧め【二次元を夢見る貴方様へ】

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その人は、人混みに慣れていないらしい。

一方方向へ進む人々とは逆方向に突き進み、こちら側へこようとしている。


知らない人…

早く帰った方がいいかも


さっと踵を返して、走り出そうとした。






『あー!!待って、僕のこと助けて!』


「はえ!?」




だけど、大声で呼び止められて思わず足が止まる。

な、なんなの…!?



振り返って、私を呼ぶ本人をみた。

どこにでもいそうな黒髪の人…二十代ぐらい。

ほかに印象がないか、無意識に探していたら、目が合った。





「……」





青にも赤にも見えるその瞳を見つめていると

何でだろう、助けなくてはいけないような気がした。









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『いっやあ、助かったよお
何でああも人はまとまって移動するのかなあ…ってちょっと!!』


「え、あ、はいっ!」



『何でどこか行こうとするんだい!?話の途中だろう。』



「え…だって…」




成り行きで助けてしまったこの人。

知らない人とはあまり話したくないのに、いつまで立っても帰らせてくれない

……助けるんじゃなかった




『まあ、この僕を助けてくれたのは感謝するよ。
僕は神崎というんだ、適当に神崎様と読んでくれたまえ!!』


「お、おまわりさーんっ!」




やっぱりダメだ、この人不審者だ。

しかも中二病を患ってる。
近寄りたくない、いたいたしい…。




『待って、待って!!僕の話聞いて!




僕実は神なんだよ!!』





他の人の事など気にせずに叫んだ神崎さんとやら。

私はまた、足を止めて振り返った








…………

……………………

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