手は届かないはずだった【まふまふ】

episode35 side you ページ36

ライブまであと一週間となった頃。

いつも通りまふくんのツイートをチェックする。

...あ、歌みた投稿してるっ！んほぇぇえ！！

興奮に流され曲名をろくに見ないまま、URLを押してニコ動へととぶ。音量をあげると、ちょうど曲が流れ始めた。

曲名は＿＿『おじゃま虫』



『僕の中の大切な気持ちを込めて歌いました』




>＞主コメどういうこと！？
＞>まさか...
＞>大切な気持ちって、恋的な？






ふと目に入った主コメ、流れていくコメント

胸に広がる少しのざわめき

それに気づかないようにして、曲に耳を傾けた



『ねえ「好き」って言って 「好き」って言って

他に何もいらないから＿』


まふくんの可愛らしい高い声が音に綺麗にのって鼓膜を振るわせる


『ねえ「好き」って言って 忘れないように

君以外はいらないから＿＿＿＿』



気づけば頬を涙が濡らしていた
止まることのないそれに、感情が溢れ出す


「うっ、くっ.........まふ、くん.........」

＿＿＿＿好き
＿＿＿＿好き
＿＿＿＿大好き





伝えることの出来ないこの気持ちはどうすればいい？



「...っなん、で...よりによってこの曲、歌っちゃう、かなぁっ......」



ボロボロと涙を零しながら自嘲気味に笑う



「...好き、だよぉっ......」



心の鍵なんてとっくに壊れてた





私はあなたに好かれたい



これを歌っているときに想っていた人なんかじゃなくて



私だけを見ていてほしい









＿＿＿＿ねえ、「好き」って言ってくれませんか

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