2 ページ6
『みんな死んじまったな。元気してたか、花垣』
昔と全く変わらない、あの笑い方だった。
……十代目黒龍総長…過去の東卍を知る生存者だ!
『お、お久しぶりです!』
僅かに震える手でぎゅ、と握り拳を作ると、俺は大きく息を吸い込んで尋ねた。
この人しか、いない!
『少し…少し、話せませんか!黒川イザナと黒龍について!
どうしても、お聞きしたいんです!!』
肩を揺らし、少し驚いたような仕草をした大寿君だったが、断りはしなかった。俺は大寿君の気が変わらないうちに、ナオトに連絡を取りその場に呼び寄せる。
飛んできたナオトを紹介すると、挨拶もそこそこに大寿君はとある場所へと俺たちを案内した。まるで水族館のようなダイニング。そしてここの社長が自分だと言うものだから驚いた。
『で。』
大寿君はスーツの内ポケットからタバコの箱を抜き出しながらそう言った。
『知りてえことは黒川イザナと黒龍について、だったか』
『はい…黒川イザナって、天竺の総長だったヤツですよね?そいつが何で黒龍の総長になって、更に東卍に入ったのか…よく分かんなくて、』
『ちょっと違うな』
『え、』
『順番が違う』
かちち、と大寿君が咥えたタバコにライターが近付いて、ぼ、と火が移った。煙を吐き出すと大寿君は『まずは黒龍についてだ』と俺たちの方を流れるように見た。
『俺が率いていたのは十代目…そもそも黒龍を創った奴は誰か知ってるか』
『つくった、ひと?』
『初代黒龍総長、佐野真一郎』
『…へ』
『黒龍を作ったのは、マイキーの実の兄だ』
大寿君はがそう言った途端、いつかマイキーくんが俺に言った言葉が呼び起こされた。
────兄貴は暴走族のトップだったクセに、喧嘩が弱かった。
東京の猛者たちを先導する兄貴はいつでもキラッキラに輝いてた……
『ま、マイキーくんのお兄さんが、黒龍の創設者……?』
どきどき、とやけに心臓の音が耳の奥で響いた。
『あぁ、初代黒龍は伝説だった。
それは二代目、三代目と脈々と受け継がれていき、そして八代目。黒川イザナがそのバトンを受け取った。』
『八代目…ってことは、十代目の大寿君よりも前!?』
『あぁ』
東卍結成時に潰したのが九代目…八代目ってことは、東卍ができる前!
『じゃあ黒川イザナって、大寿君より年上?』
『あぁ、俺の2コ上、S62世代だ』
『S62世代…天竺の連中だ…!』
71人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「東京リベンジャーズ」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時