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『みんな死んじまったな。元気してたか、花垣』

昔と全く変わらない、あの笑い方だった。

……十代目黒龍総長…過去の東卍を知る生存者だ!

『お、お久しぶりです!』

僅かに震える手でぎゅ、と握り拳を作ると、俺は大きく息を吸い込んで尋ねた。

この人しか、いない!

『少し…少し、話せませんか!黒川イザナと黒龍について!

どうしても、お聞きしたいんです!!』

肩を揺らし、少し驚いたような仕草をした大寿君だったが、断りはしなかった。俺は大寿君の気が変わらないうちに、ナオトに連絡を取りその場に呼び寄せる。

飛んできたナオトを紹介すると、挨拶もそこそこに大寿君はとある場所へと俺たちを案内した。まるで水族館のようなダイニング。そしてここの社長が自分だと言うものだから驚いた。

『で。』

大寿君はスーツの内ポケットからタバコの箱を抜き出しながらそう言った。

『知りてえことは黒川イザナと黒龍について、だったか』

『はい…黒川イザナって、天竺の総長だったヤツですよね?そいつが何で黒龍の総長になって、更に東卍に入ったのか…よく分かんなくて、』

『ちょっと違うな』

『え、』

『順番が違う』

かちち、と大寿君が咥えたタバコにライターが近付いて、ぼ、と火が移った。煙を吐き出すと大寿君は『まずは黒龍についてだ』と俺たちの方を流れるように見た。

『俺が率いていたのは十代目…そもそも黒龍を創った奴は誰か知ってるか』

『つくった、ひと?』

『初代黒龍総長、佐野真一郎』

『…へ』

『黒龍を作ったのは、マイキーの実の兄だ』

大寿君はがそう言った途端、いつかマイキーくんが俺に言った言葉が呼び起こされた。

​────兄貴は暴走族のトップだったクセに、喧嘩が弱かった。
東京の猛者たちを先導する兄貴はいつでもキラッキラに輝いてた……


『ま、マイキーくんのお兄さんが、黒龍の創設者……?』


どきどき、とやけに心臓の音が耳の奥で響いた。

『あぁ、初代黒龍は伝説だった。

それは二代目、三代目と脈々と受け継がれていき、そして八代目。黒川イザナがそのバトンを受け取った。』

『八代目…ってことは、十代目の大寿君よりも前!?』

『あぁ』

東卍結成時に潰したのが九代目…八代目ってことは、東卍ができる前!

『じゃあ黒川イザナって、大寿君より年上?』

『あぁ、俺の2コ上、S62世代だ』

『S62世代…天竺の連中だ…!』

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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時

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