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『あの人がウチのもう1人のお兄ちゃん…イザナ、だよね』

真一郎くんの前で話をする3人を見るエマちゃんが、隣でそう呟いた。

『これから、喧嘩するんでしょ』

『……多分』

『男の子って、なんで喧嘩ばっかりするのかな』

『え?』

『まなかちゃんも、真兄によく言ってた』

『…』

『東京卍會総長、無敵のマイキー。

…マイキーはね。人前で強いとこしか見せないの。

兄貴が死んだ時も、場地が死んだ時も、まなかちゃんが行方不明になったって知った時も。

どんな時でも弱い顔を見せないのが、マイキー』


『…うん。たしかに、そうだね』


『でも、ホントのホントは…今でも使い古したタオルケット握りしめてないと寝れない弱い男の子。

君やウチと一緒なんだよ

…… だから、どっかで張り詰めた糸が切れちゃったとき、そんときは、今度はウチが絶対マイキーを助けてあげるんだ!

頼れるまなかちゃんも居ないしね!

…なーんて、カッコつけすぎ、かな?』


エマちゃんはからりと笑って髪を揺らした。

ドラケンくんも、きっと藤宮まなかもマイキーくんの支えである事に間違いはないはずだ。

『…ううん。そんなことないと思うよ』

だけど、やっぱり1番マイキーくんのことを分かってるのって、やっぱりエマちゃんだったりすんのかな。家族、だもんな。

そんなことを考えながら、自販機の方に向かうエマちゃんの背中を見て、ふと。


あれ。現代でエマちゃんって、何してる?


『タケミっちも、なんか飲む?』
『え、あ、うん』

おかしい。
藤宮まなかがこの抗争で死ぬから、助けたい。
マイキーくんが闇落ちするのを、助けたいんだ。

そんなマイキーくんの心の拠り所である、エマちゃんは?
藤宮まなかがもし仮に救えなかったとして。
エマちゃんは?妹であるエマちゃんは、なにしてる?

どうして現代で一度も会えてないんだ。




『エマちゃんって、現代に、いたっけ?』




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作者名:亜秀 | 作成日時:2022年2月6日 20時

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