【銀魂】死神と呼ばれた少女【沖田総悟】

#1　出逢い ページ2

冬･･･江戸も一面銀色の世界に包まれ、吐息も白くなった

純白の粉雪が空からゆっくりと舞い降り、儚く溶けていく

　「寒くて外に出るのはごめんだ」

そういって丸くなる者たち

だがあるところでは、そんなのは許されなかった

「総悟ぉッ!見回り行って来い!」

「えー、やですよ 寒いんだから」

「いいから行け！」

武装警察真選組

江戸を守る侍が集った場所だ

「ちッ･･･死ね土方コノヤロー」

渋々こたつから出ると、刀を持って外に出た

冷たい風が吹いていて、だんだん頬が痛くなってくる

(こんな寒ィのに攘夷浪士なんかいるかっての･･･)

そっと空を見上げた

相変わらずやまない雪

前からずっとこの調子で、寒さは増していった

冷えた手を温めるように息を吐くと、近くにあったコンビニに寄った

「肉まん一つー」

見回りを完璧にサボっているのが、彼にとってはいつものことだった

　マフラーとか、コートとか着たいものだが真選組では着れない

恐らく動きづらいかなにかだろう

唯一あるのは、さっき買った肉まん

軽く挟んだ脇にだけに熱が灯った

　見回りというより、ただの散歩に近い状態が続いて十分ほど･･･

皆が手袋、マフラー、コートなどをしているのにも関わらず

かなりの薄着で地べたにしゃがみこんだ少女がいた

(ホームレス･･･?)

警察なんてやっていなかったら放っておいたところだが

現在の立場ではそうもいかない

「オイ、お前」

少女は声の存在に気づくと、ゆっくりと振り向いた

「んな薄着でなにしてんだ、風邪ひくぞ」

そう言うと、小さく返事が返ってくる

「気にしないで･･」

『そう言われたんで放っておきました』なんて報告すれば、もちろんのこと叱られる

「親は？」

「･･･いない」

顔を俯かせ、寂しそうにそう言った

「家は」

「ない･･」

大きくため息をつき、彼女に「ついてこい」と軽く手で合図する

たが頑として動こうとしない

「死にてぇのか」

「平気･･･放っておいてよ」

「こっちゃぁ警察なんだよ
　てめぇみてぇな奴ほっとけるか」

強引に手を引っ張り、立たせる

「つか冷てェなオイ 風邪ひいてんじゃねぇの」

氷のように冷え切った手に、顔を歪ませる

少女は黙ったままだった

「ったく･･･ほら、これやる」

そういって買ったばかりの肉まんを差し出した

まだ温かさは残ってる

「いらない･･･」

小さく怒筋を浮かべると、「あーそうかィ」と不機嫌そうに言ってそれを受け取った

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