【銀魂】10月10日、奇跡の日【坂田銀時】

奇跡49 ページ10

そうだよ、なんで私今まで忘れてたんだろう。




『―――ごめんね、銀時さん。ごめんねっ…』





大好きだって言ったくせに今まで忘れててごめんなさい。
それに―――、





『いなくならないって約束したのにっ…』





約束っ…したのに…、破っちゃった上に…銀時さんの存在自体を忘れていた。

後悔と自分への失望で胸が押しつぶされるくらい苦しい。喉の奥がヒューヒューと音を立てる。






‟―――――会いたい”





貴方に会いに行きたい。
会って、謝って、貴方の温もりに触れて、バカだなって笑って欲しい。



けど私とあなたの距離を埋めるのは、現代の科学では叶わないもので。私はただ、足掻くしかないのだ。





足掻いて足掻いて…また奇跡が起きる日まで貴方を想い続けることしか出来ない……。






.







.







フラフラと涙が止まらぬ状態で部屋の中に入り、机の中からある物を取り出す。






蛍光灯の光に反射しキラキラと輝くブレスレットは、銀時さんが私にくれた初めてのプレゼントだ。
記憶がなくなってから、いつ付けたか覚えのなかったこのブレスレットを私は机の引き出しの中へとしまった。…銀時さんがくれたブレスレットの存在まで忘れちゃってるなんて。





乾いた笑みを浮かべながら、腕に通す。




開けっ放しの窓から、秋風が入り込んで私の髪をすくっていく。





『……銀時さん、』






会いたい、です…。






貴方の笑顔を思い浮かべながら私はそっと目を閉じ、ブレスレットに口付けした――――。

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