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奇跡48 ページ9

「んじゃまたねー!」



『ばいばーい』




自宅への帰路を進める友人に別れを告げ、1人だけとなった部屋で私は大きく息を吸った。

窓から見える景色は結構前に暗く染まっていて、長い時間話し込んでいたことが伺える。






‟―――絶対ェ帰ってくっから、それまで居なくなんじゃねーぞ”






(―――あなたは、誰なの)





銀色の髪をして、優しい声で私を呼ぶあなたは誰?

記憶の中で私を抱きしめてる貴方は、いったい誰なの――??


思い出したいのに思い出せない。想い出さなきゃいけない気がするのに、思い出せない。







運命とか、前世の記憶とか。ハッキリ言ってばかばかしいと思う。それに頭の中の彼はそう言うじゃない。良く分かんないけどそう思う。…そんなものよりずっと深くて、運命とかそう言う言葉では収まらない……強いて言葉を付けるとしたら……




「…奇跡、」




その言葉を口にした途端、グラリと視界が歪んだ。
慌てて近くにあったテーブルに手を着き体を支えれば、また頭に流れる映像。




(―――これは、月??)




しかし今回は声は聞こえず、ただ大きく輝く月の映像が頭の中に流れたのだ。






‟月って不思議なパワーがあるからもしかしたら何か分かるかもよ”



ふと友人の言葉を思い出す。いや、まさかそんな非現実的な事…。そう思ったが何故か私は誘われるようにいつの間にかベランダに出ていた。




ズキズキと頭が痛む。





満月とまではいかないけど、都会では珍しく綺麗な月がそこにはあった。




無意識に流れる涙。そして――、





‟私ね、思うんです。こっちの世界に来たのも、――さんや沢山の隊士さん達に会えたのも、2回も命を救われたのも………全部、ここで起こったことが全部‟奇跡”というもののおかげなんじゃないかって”





記憶の中の私は言う。これは奇跡だと。
そして、目の前の彼の綺麗な銀髪がふわりと揺れる。




白い靄が晴れる。紅い瞳が見える。あなたの顔が徐々に見える。





‟はい、奇跡です。見る人からしたら運命とか宿命とか言う人もいるんでしょうけど。私は、これは神様が与えてくれた奇跡だと感じているんです”






私は知っている。この腕の温もりも、あなたの顔も笑顔も声も――。





頬を伝った泪が、ぽとりと落ちたと同時に私はその場にしゃがみ声を殺して泣いた。








‟――――あなたに会えた事が全部奇跡だったんだよ。銀時さん”





そうだ、貴方は私の大好きな人。

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- 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2022年12月1日 19時) (レス) @page26 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
Oub48c373260fof(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の終わり方がとてもよかったです。泣きそうになりました(泣)とても素晴らしいですね。とても気に入りました。また読みたいです。 (2017年10月9日 21時) (レス) id: 2fce3fa0b4 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 総悟13(低浮上)さん» ありがとうぅぅ(* ハ)やっとやっと完結できたよ…!!いつも応援してくれてありがとうね!ほんと感謝しかない!!! (2017年10月9日 18時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
総悟13(低浮上)(プロフ) - 完結おめでとう!!ずっと待ってた!!とても素晴らしい最後だった、本当に!!こんなに素晴らしい作品をありがとう!! (2017年10月9日 17時) (レス) id: 56f522caa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったら銀魂の銀時か高杉の姉か妹がワールドトリガーかリボーンかアニメKの世界にトリップか転生した作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体にきよつけて更新頑張って下さい (2017年9月13日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紅華 | 作成日時:2017年1月26日 18時

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