奇跡53 ページ14
「―――で?」
『…いや、で?と言われましても』
タラリと冷や汗が流れ、口の端がヒクつくのが自分でも分かる。
それもこれも原因は目の前で煙草をふかしつつ、鋭い眼光で私を睨みつけているお兄さんにあるわけで……。
(……なんでこうなった、)
私はただ地味目の人に質問をしただけなのに、それだけなのに何故こんな所に連行されているのか。
「山崎が言うには天人の事を知らない風だったらしいじゃねーか。このご時世、天人を知らないなんて普通じゃねェ」
『いや、知っては居たんですけど。確認のため聞いたと言いますか…』
「は?なんで改めて聞く必要があんだよ」
『…ヒィッ』
正直に答えれば答えるほど私の怪しさは増していくらしく目の前のお兄さんの眼光も鋭くなる。
まさに蛇に睨まれた蛙状態の私。
あぁ、本当はこんな事している暇ないのに。早く銀時さんを見つけなきゃいけないのに。
…と言うか、そもそもここは一体どこなのか。
取り調べ的な事をされているから警察署みたいな所だろうな、とは思うけど。さっきの地味目な人は電話で副長とか言ってたし…。
『あの、つかぬことをお聞きしますが…』
「あ”?」
『…え、あああの。ここ、ここは一体どこなんですか?」
私がそう聞くとお兄さんは一瞬キョトンとした顔をして、それから眉間に皺をギュッと寄せた。そして「ここがどこだか分からねェとは、いよいよお前何者だ?」と。
『あ、あや、怪しい者ではないです!』
「怪しさしかねェ奴が何言ってんだ」
どう言ったら私は何の害もない一般市民だと信じてくれるのか。
もう正直に言う?私はこの世界の人間じゃないんです。トリップしてきちゃったんです。って正直に言っちゃう?
……いや、だめだ。ただの頭がおかしい奴って事で病院送りになる。
大体別の世界から来たなんて戯言みたいなこと信じる方がおかしい。銀時さんくらいだよきっと。
『―――銀時さん、』
彼の顔を思い浮かべたら、無意識に口から出た彼の名前。それはため息交じりのとても小さな声だった。しかし、目の前のお兄さんの耳にはその声が届いていたらしく「あ”?」と本日何度目か分からない睨みを私に効かせて来た。
「お前ェ…」
『ひぃっ!勝手に喋ってすいませ……』
「万事屋の知り合いか?」
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凛 - 最高です!胸がどきどきして止まらなかったです!泣きそうになりました。 (2022年12月1日 19時) (レス) @page26 id: 2bc0f45ebb (このIDを非表示/違反報告)
Oub48c373260fof(プロフ) - 完結おめでとうございます!最後の終わり方がとてもよかったです。泣きそうになりました(泣)とても素晴らしいですね。とても気に入りました。また読みたいです。 (2017年10月9日 21時) (レス) id: 2fce3fa0b4 (このIDを非表示/違反報告)
紅華(プロフ) - 総悟13(低浮上)さん» ありがとうぅぅ(* ハ)やっとやっと完結できたよ…!!いつも応援してくれてありがとうね!ほんと感謝しかない!!! (2017年10月9日 18時) (レス) id: c24c6aa26f (このIDを非表示/違反報告)
総悟13(低浮上)(プロフ) - 完結おめでとう!!ずっと待ってた!!とても素晴らしい最後だった、本当に!!こんなに素晴らしい作品をありがとう!! (2017年10月9日 17時) (レス) id: 56f522caa1 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったら銀魂の銀時か高杉の姉か妹がワールドトリガーかリボーンかアニメKの世界にトリップか転生した作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体にきよつけて更新頑張って下さい (2017年9月13日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅華 | 作成日時:2017年1月26日 18時