399、心配させて ページ3
タツヤはAの人柄をよく理解してくれているようだった。そう感じたのは、こんな言葉をかけられてから。
「ただ、迷惑かけるかもなんて考えて一人で抱え込むのだけはやめろよ」
自分でもそういうところがあることは分かっている。タツヤもそれを充分に分かった上でそう言ったのだろう。
「誰も迷惑かけられたくないなんて思ってない。別に迷惑かけたっていいし、心配させて欲しいんだ」
「!」
そうか。タツヤは遠慮されるのが嫌いなんだ。
仲間を大切に思ってくれる彼だからこそ。
そしてそれはきっと他のみんなにも言える。
優し過ぎるよ。
「Aが何か言いたくなった時に、いつでも相談に乗るから」
「…ありがとう」
今まで隠し事をするたびに罪悪感があったんだけど…何だか楽になった気がする。
「わかった。そうする」
本当に一人じゃどうにもならないって思った時は誰かを頼ると。一星君だってそうして欲しいって言ってくれたから。
タツヤの一言一言から、本当に心配してくれていたんだということが伝わって来た。
それなのに私は真実を知られたくなくてタツヤ相手に怯えてばかりで…申し訳なかった。
(…正直キスマークの正体はすごく気になるけど)
タツヤは悶々としながら自分が跡をつけた部位、すなわちAの肩に目をやる。
『好きな人があんなもの付けられたのが悔しかった。だから自分で上書きしたかった』…言わばあれは独占欲から生まれた行動だった。
こんなに人を好きになったのは初めてだったのでつい我を忘れてしまった。
とはいえ今後は暴走しないよう気をつけなければ。そうタツヤは思った。
「…この前は本当にごめん。痛かったよね?」
「大丈夫。気にしないで」
そうは言うが、Aの方も悶々としていた。
(…正直タツヤがどうしてあんなことしたのかは気になるけど…果たして触れていいものか)
あの時かなり怒ってたみたいだし、一時の気の迷いだったのかもしれない。
だからきっと深い意味はない。
本人にあまり深掘りするのもよくないかも。
などと自分の中だけで勝手に解決させていると、タツヤが自分の顔を真っ直ぐ見つめて来た。
「……A、じっとしてて」
「……?」
言いながらじりじり近づいて来るので、Aも思わず後ろに下がる。
(ま、まさか)
つい、これからされることの想像をしてしまう。
自惚れてるかもしれない。違ったら恥ずかしい。
けどもしかして。
キス…されるのではないか。
63人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます!更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります! (2020年3月3日 3時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます!!紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります!このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます!!無理せず更新頑張ってください!応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紅葉 | 作成日時:2019年12月4日 0時