415、革命 ページ19
「だったらさ。オリオンとサッカー、両方を救う道を探すしかないよ」
「えっ」
「君は俺たちと違う方法でオリオンと戦うべきだ」
確信を持った一星の言葉に、フロイは目を丸くする。フロイが途端に静かになるので、Aも異変を感じた。
「あはははは！」
かと思ったら、大口を開けて笑い出した。豪快に笑われ、一星も困惑している。
「…フロイ？」
「ああ、ごめん。君の言葉が嬉しくて。ありがとう、光」
フロイの楽しそうな、それでいて嬉しそうな声振り。仲睦まじいやりとりに、こちらまで口元が緩む。
「ごめん。実は僕の気持ちは決まっていたんだ。多分、ずっと前から」
笑いが治まると、フロイは微笑んだ。
「今日は君に甘えてみたくなったのかな。親友として、君の考えを知りたかった」
「そっか、フロイらしいな」
「だけど、僕がこれからやろうとすることは簡単なことじゃない。革命は一人ではできないよ。だから僕は僕なりに、革命の準備を始めたんだ」
フロイの言う革命とは、先程マリクたちと話した件だろう。
すると
「ずっと聞いてみたかったんだけど」
と、唐突に隣で同じく話を聞いていた野坂が口を割る。声のボリュームは変わらず抑えめで。
「Aさんがサッカーを始めたきっかけって何なのかな？」
「何？急に」
「何となく」
今じゃなくても良さげな話題だが、おそらくフロイの話からその質問が浮かんだのだと思われる。
「そういえば紀村さんの取材の時も同じ質問されたな」
「あんな噛みまくりの記事じゃ内容が頭に入って来ないよ」
思い出したくもないが、出来上がった雑誌に載っていたのは、Aが噛んだところを削ることなく使った、本人にとって黒歴史にも等しい記事だった。
「…その時も言ったんだけど…小さい頃、島に越してきた時に明日人たちがチームに誘ってくれたの」
「やっぱりきっかけは明日人くんなんだね」
私が今もサッカーを続けられてる理由は島の人達。でも、島でサッカーを始めようと思った理由はそれだけではない。
「…それもあるけど、それよりも前にサッカーの基礎を教えてくれた人もいてね」
そんな恩人が現在ああなっていたとは、少し前の自分は想像もしなかった。
いっそ最初から出会わなかったら良かったのではないかとも考えることもある。それならこんなに思い悩むことも、傷つくこともなかっただろう。
でも、果たしてそれで私は今頃サッカーをできていたのだろうか？答えはきっと「NO」だ。
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紅葉 - あああさん» コメントありがとうございます！更新及び返信が遅くなり大変申し訳ございません。亀更新になるとは思いますがこれからも頑張ります！ (2020年3月3日 3時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
あああ - 何度も読み返ししてます！！紅葉さんの作る話が面白くてすごく続きが気になります！このシリーズが好きで毎日チェックしてます笑ヒロトが特に好きなので出てくる度にうぉぉおってなります更新いつまでも待ってます！！無理せず更新頑張ってください！応援してます (2020年2月11日 20時) (レス) id: de8812076d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年12月4日 0時
