381、オーバーサイクロン ページ35
小僧丸がアツヤにパスを出しながら敵陣に切り込んでいく。
以前までの小僧丸なら、そう簡単にパスなど出さなかった。その点では彼のプレイスタイルは変わった気がした。
だがこれと言って派手な動きはしていない。はっきり地味とまで言われている。驚くほどの変貌を遂げて代表に入ってきただけに、拍子抜けしているメンバーもいた。
そんな中、野坂は彼を見て「悪くないよ」と言っている。
「今の彼は、静と動でいえば「静」のプレイをしている」
一星も頷く。
「なるほど。だとすると反対側には、激しく熱い「動」のプレイが隠れているはず……」
「なめるなよ!」小僧丸がフロイからボールを奪う。
「なめてるのはどっちだい?」
余裕の笑みを浮かべながらボールを奪い返すフロイ。ボールをキープして上がっていく。
一方で小僧丸は突然立ち止まり、俯いた。
「……小僧丸?」
よく見ると肩を震わせている。具合でも悪いのだろうか。
そう思いどうしたのと聞く前に小僧丸が口を開いた。
「もう少し取っておくつもりだったが……どうなっても知らねえぜ!」
小僧丸が「スイッチオン!」と口にして顔を上げた途端、雄叫びを上げると青白い炎が彼を覆った。
「うおおおおおおおおお!」
叫びながら突進し、ボールを奪いゴールに向かう。
「ラストリゾート」の始まりのような体勢になったかと思うと、周囲に大自然の風景が現れた。
「オーバーサイクロン!」
小僧丸の蹴り上げたボールはサイクロンをまとい、沢山の野生動物と共に相手ゴールに向かっていく。
対するロシアチームのGKも必殺技を発動する。
「ツーマンデ・ゴラン!」
巨大な手が現れ、二本指でボールをつまもうとする。だが小僧丸のシュートはGKを弾き飛ばし、ゴールに突き刺さった。
再びスタジアムが歓喜の声に湧き、小僧丸は雄叫びを上げた。
これで1一1と同点。
ベンチからは杏奈たちの喜ぶ声が聞こえる。
Aたちはそれに喜ぶよりは、彼のワイルドなプレイに驚いていた。
「いつの間にあんな凄い技を!」
「まあな」
彼とハイタッチをする。満足そうな笑みを浮かべる小僧丸につられて喜びが込み上げてきた。
確かに彼は周りも驚くほどの進化を遂げていた。修行の成果は十分に発揮されたようだ。
その頃フロイもまた、満足そうに笑っていた。
「やっと僕も、本気を出せる時が来たんだ」
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飛鳥 - いちいちパスワード認証がでるのですか?なぜですか? (2020年3月25日 22時) (レス) id: 5955d179f7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - 沙希子さん» あたたかいコメントありがとうございます!最近更新が遅れ気味で大変申し訳ございません。最終回に向けてこれからも更新を頑張っていくつもりですので楽しんでいただけると幸いです。 (2019年11月17日 10時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
沙希子(プロフ) - 更新焦らず頑張ってください!続き凄く気になります。 (2019年11月17日 6時) (レス) id: 03fe093666 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - そそそさん» コメントありがとうございます!1番ですか!?とても嬉しいです!ありがとうございます!!更新が大幅に遅れてしまい大変申し訳ございません。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。 (2019年10月23日 18時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
そそそ(プロフ) - 今まで見たイナアレ小説の中で1番おもしろいです。更新楽しみにしています! (2019年10月23日 10時) (レス) id: 924231b153 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年9月29日 21時