天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。7【オリオンの刻印】

320、アメリカ戦当日 ページ24

とうとうアメリカ戦当日を迎えた。

相手ベンチにはもちろんスターユニコーンではなく、ネイビー・インベーダーが待ち構えている。

やっぱり一之瀬さん達はいないんだな…。悪い夢なら覚めて欲しかったのに。

「ったく、不気味な奴らだぜ」

灰崎が相手チームを見て言う。

本当にただものじゃない空気が漂っている。戦場でも戦えるくらい強いって言ってたから、相当な力を持っているんだろう。一之瀬さん達との模擬戦ではあの人たちの実力はよく分からなかったけど。

…でも、本当にあの爆破はどうやってやったんだろうか。それが分からないと、もしかしたら今日の試合、危ない目に遭う人が出るんじゃ…。

「11人全員がオリオンとはな」と、氷浦も不安をこぼす。

「おもしれえじゃねえか。ふざけた真似してきたら、全員ぶっつぶしてやる」

ただ不動だけは不敵な笑みを浮かべている。

Aはそんな不動の気合いを見習おうと思った。


その時、岩戸が謎のめまいでよろめいた。それを剛陣が重さに耐えながらも必死に支える。

「そういえば昨日、アフロディとヒロトと3人で遊園地に行ってたみたいだけど」

そんな岩戸を見て、風丸が言った。

「メリーゴーランドとコーヒーカップだけは楽しかったな」

ヒロトがそんな可愛らしい乗り物を好むという事実に、Aは静かに驚いていた。

「有意義な時間だったね。ヒロトくん、ゴーレムくん」

「お、思い出しただけで目が…」

アフロディは笑っているが、岩戸は気分が悪そうだ。

(…な、何があったんだろう…)

遊園地に行くか掃除をするかじゃえらい違いとか言ったけど、今回ばかりはそうでも無かったのかな。



スタメン発表後の試合開始間近に趙金雲がメンバーを集める。今回もAはスタメンに選ばれた。

「みなさん、準備はいいですか？」

「試合中何かあっても、いつでもスタンバってるからな」と頼もしい析谷が言う。

「よし、行くぞ！」

円堂がチームに喝を入れる。

「遅くなりました！」

そこへ今まで姿が見えなかった明日人が戻って来た。

「どこ行ってたんだ明日人！」万作が怒ったように言った。

「ごめんごめん！さあ、行こう！」

ジャージを杏奈に預け、明日人はフィールドへ走り出した。

「今日も勝つぞ！」

「何だあいつ…」

明日人はやけに張り切っている。剛陣たちはそれに違和感を覚えた。

最近明日人の様子がおかしい。元気が無かったり、今みたいにはしゃいでたり…。

今まで何かあった…とか？

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