319、好きなんだから ページ23
「…俺の友達にも、好きな奴がいるんだ。その友達から聞いた話だけど」
タツヤは瞬時に、話というのは万作本人の実話だと悟った。ということはつまり、万作に好きな人がいるということ。
(万作の好きな人か…どんな人なんだろう)
万作は話しながらAの顔を思い浮かべた。
Aと初めて会ったのは6歳の時。割と早い段階からAは道成に恋をしていたようだった。
その姿が可愛く感じて、好きになった。
でもあの顔を向けてくれる相手が何で自分じゃないんだろうと何度も思った。
おまけに氷浦まで同じ人が好きで。
何度も諦めようと思った。これは敵わない恋だと。
だけど、ある日Aが遠くに引っ越すことになった。
Aが伊那国島を離れて東京に行くことになったのは小6の頃だった。
Aが居なくなって、すごい後悔した。想いを伝えておけば良かったんじゃないかと。そうすれば、もしかすると何か変わったんじゃないかと。
…まあ、今ではこうして再会できて一緒に日本代表に選ばれてるから、結果オーライだが。
「つまり、何が言いたいかと言うと…」
万作はタツヤに言いたいことをまとめる。
「自分のしたいように行動するのが一番だと思う。色んなことに恐れて行動しなかったら、後悔しかしないと思うんだ」
それらが全て自分に最適な助言のようで、タツヤはハッとした。
「「この人を好きになっちゃいけない」っていう決まりなんて誰にも無いんだからさ」
万作が言っていることは当たり前のようだが、タツヤが今まで忘れていたことでもあった。
「 だから、俺だったら諦めないな。っていうか、諦める必要ないと思う。好きなんだからそう簡単に諦めたくないのは仕方ないだろ」
万作の勇気ある言葉に、タツヤは今までの苦しみが徐々に消えていく感じがした。
(…良いのかな。俺だって諦めなくても)
「…悪いな。こんなアドバイスしかできなくて」
「…いや、ありがとう」
万作もそんな体験をしてたのか。
「万作は…あ、違う…万作の友達はまだ、その人のこと好きなのかな？」
タツヤのその質問に万作はふっと笑って、答えた。
「好きだと思うぞ。結構諦め悪いからな、そいつ」
万作と別れた後、タツヤはポツリと、言われたことを呟いてみた。
「…「誰かを好きになっちゃいけない決まりなんてない」……か」
タツヤはその言葉に、気持ちが少し楽になった気がした。
もしかすると、ずっと誰かにそう言ってもらいたかったのかもしれない。
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紅葉(プロフ) - 夜空さん» コメントありがとうございます！楽しみにしていただいてとても嬉しいです！これからも更新頑張ります！ (2019年9月29日 11時) (
レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
夜空 - とても面白くて新しい更新を楽しみにしてます！タツヤの恋も応援したい！ヒロトの恋も応援したい！どうなるの〜汗 (2019年9月29日 2時) (レス) id: d246f2b775 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ドルチェさん» コメントありがとうございます！とても嬉しいです！これからも更新頑張ります！！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
ドルチェ - 紅葉さん,いつも楽しみにしてます！これからも拝読させて頂きます！頑張ってください！ (2019年9月23日 12時) (レス) id: 697128a6e4 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - ルナさん» コメントありがとうございます！アツヤの登場でさまざまな人間関係が大きく変わっていく、ということをテーマに書いていく予定ですので、楽しんでいただけると幸いです。これからも頑張ります！ (2019年9月14日 8時) (レス) id: bcd97f376b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紅葉 | 作成日時：2019年9月8日 22時
