292、侍たち ページ45
ベルガモ「フィジカルを誇るスペインだからこそ生まれてしまった弱点、というわけか」
ルーサー「まだ同点だ。取り返そうぜクラリオ」
「どうした?」笑みを崩さないクラリオにベルガモが尋ねる。
クラリオ「今、私は感じている。心底サッカーの楽しさを。かつて感じたことのない興奮を。私は今分かった。これが本当のサッカーだ!」
…こんなクラリオさん、初めて見た。
本当にサッカーを楽しんでいるクラリオを見て、Aまで頰が緩んだ。
クラリオ「ここからが本当の戦いだ!」
チームの士気を高めるクラリオに、一同は頷き、ベルガモも「当然だ!」と笑って言った。
クラリオ「行くぞ!日本の侍たちよ!」
侍なんて言葉久しぶりに聞いたけど、良い響きだ。
明日人とクラリオが、ボールを挟んでぶつかり合う。こぼれたボールに二人が同時に食らいついたその時、試合終了の笛が鳴った。
同点のまま、試合は終わったのだ。
不動「引き分けか…」
氷浦「でも、何て気持ちの良い試合なんだろう!」
貴女「本当!楽しかった!」
Aと氷浦は顔を見合わせて笑った。
勝つことはできなかったけど、ものすごい満足感がある。
剛陣「けどよ、引き分けだとやばいんじゃないのか?勝ち点は1点だったよな?」
一星「はい。ですが一次グループリーグで1試合引き分けても、決勝へ行ける可能性は残っています!」
剛陣「おお、そうなのか!」
まだ優勝の希望があることに、Aたちは安堵した。
貴女「…あ!そうだ…」
Aは忘れてはいけないことを思い出し、ベンチへハンカチを取りに行った。
ハンカチを返しにクラリオの元へ行こうとすると、クラリオは円堂と話をしていた。Aは邪魔することなく離れたところから2人を見守る。
クラリオ「良い試合だった。私が期待した以上に、日本は大きく成長した」
クラリオはお世辞抜きに、円堂にそう言った。
成長した、か。そう思ってもらえて嬉しい。
クラリオ「あなたたちのおかげで、私はサッカーの楽しさを再認識した。いや、私はサッカーの本当の楽しさを、今日初めて知ったのかもしれない」
円堂「ああ。俺たちだって、お前たちという目標があったからこそここまで来られた。ありがとな、クラリオ!」
クラリオ「私はまたあなたたちと戦いたい。本当のサッカーを、もっとやっていきたい」
「ああ!もちろん!また戦えるさ!」と、円堂はAの気持ちごと代弁してくれた。
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作者名:紅葉 | 作成日時:2019年8月23日 13時