天使(仮)の人生は平穏無事とはいかない。4【オリオンの刻印】

171、言われ慣れない ページ23

つくしに後ろに立たれたことで、ドレス姿が公開されてしまったA。

大谷「私たちでコーディネートしたんですよ！どうですか、綺麗でしょう⁉」

つくしが自信たっぷりにAを見せびらかす。
いつもと違うAを早く見てもらいたかったようだ。

貴女「……っ」

見られている恥ずかしさのあまり、動けなくなってしまった。

男性陣の反応はというと…




……何も言わずにこちらを見ている。




それがまた、似合ってないんじゃないかという不安をAに与える。

貴女「〜〜…」

…やっぱり、可愛くなって大変身なんて、私には無理だったんですよ。

恥ずかしい、逃げちゃいたい…そう思った時。


坂野上「…うわぁ…Aさん、すっごく綺麗です‼」


一番最初に言葉にしたのは坂野上だった。

貴女「…‼」

他の男性も一斉に坂野上の方を向いた。

大谷「ですよね！」

坂野上「Aさん！とっっっても、可愛いですよ‼」

貴女「…えっ…」

顔を赤らめながらも必死にそう伝えてくれる坂野上に、思わず反応したA。

貴女「…あ…ありがとう坂野上君」

お世辞かどうかはともかく、悪い気はしない。

大谷「ほら、Aちゃん！本当に可愛いって！」

貴女「せ…先輩…」

大谷「可愛い‼」

坂野上「可愛いです‼」

貴女「…あ……あう…」

言われ慣れない「可愛い」攻撃により、すっかり顔がゆでダコのようになってしまった。

貴女「…も…もう…大丈夫……ありがとう…」

色んな意味でダメージを食らった。
既に何かしらのエネルギーを使った気がする。

…褒められたら褒められたで恥ずかしいのね…

…まあ、嬉しかったけど…


ヨネ「他の子たちもあんな風に褒めないと！乙女心がわかってないね！」

秋「うーん…多分、褒める余裕がないだけじゃ…」


Aの姿を見て顔を赤くしている者もたくさんいたのだが、今のAにはそれに気づく余裕はなかった。




野坂「……」

西蔭「…野坂さん？大丈夫ですか？」

野坂「…え？…ああ、うん。それより一星君、顔赤いけど大丈夫かい？」



氷浦「…き、綺麗…」

万作「…氷浦、心の声が漏れてる」



吉良「…か、かわい…じゃなくて！ちょっと褒められたくらいであんな赤くなってんなよ…‼くそっ…」

灰崎「…おい、ブツブツうるせぇぞ」




基山(…坂野上に先を越されてしまった…。…あれ？先を越されたって……何が？)









…それぞれがそれぞれの思いを胸に、


特別な夜が今、始まる。

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