ツンデレ猫彼氏

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「っ……バカやろっ。また勝手にいなくなりやがって……」




「……ごめんね」








　


ぎゅっ、と抱きしめて離さないユンギ。


濡れた髪から滴る水が私の頰に触れる。
じわじわと全身に染み渡っていく冷たさ。
耳にかかる、ユンギの吐息。




　




　
「ちょっと、二人とも。特にユンギ。僕の前でイチャつかないでくれる？」








　

お兄ちゃんの声にバッと体が離れる。


はい、とお兄ちゃんがユンギにタオルを渡して。
でもユンギはそれを自分には使わずに、少し濡れた私の顔を拭いた。






もう、怒ってないんだね。

凄く優しい目をしてる。





　



　
「……ごめんね。ありがとう。
私はもういいから、早く体温めて」



「……ん」










わしゃわしゃと髪を拭くユンギに、お兄ちゃんがまた新しいタオルを渡す。

それからケラケラと笑い出した。






　



「ヤー。今日が休みでよかったな？感謝しなさい、二人とも！」



「うん。ありがとう、お兄ちゃん」



「……ありがとう、ございます」










こういう時、いつも場を和ませられるお兄ちゃんは凄いと思う。

本当は休みじゃないのに、休みにしてくれたり。
落ち着いたのを見計らって、コーヒーを置いてくれたり。



本当に頼れるお兄ちゃんだな、と遠ざかる背中を見つめる。
それからユンギの方へ振り向いて。




　


　
　

「……どうして、ここが分かったの？」










そう言いながら、ユンギの手を握れば、ひんやりと冷たさが伝わってくる。

だけど、しっかり握り返されて。まっすぐな瞳が私を映す。

　


それからそっと、口を開いた。




　



　



「……大切なものを、探しにきた」











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