Cascade 2

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「いいんじゃない？ 試着してみれば？」
「あとでまとめてする」


北山の言葉にどんだけ買う気だよと思ったが、悪い気はしない。

ウィンドウショッピングもいいけど、どうせ買い物に付き合うなら買う気で来られた方がこっちも気分がいい。
だから俺も調子に乗ってどんどんアドバイスをしてしまった。


「ニットもそうなんだけど、全体的にもうちょっと色が入ってるのもあった方がいいんじゃない？」
「あー、なんかあんま考えなくていいからいつも黒選んじまうんだよなー」
「黒でもいいけどいつもは着ないタイプの買ったら？ ワイドパンツとか好きじゃない？」
「んー、好きだけど着こなせる自信がない」
「ストレートじゃなければ大丈夫じゃないかな。黒かグレーが定番だけど、カジュアルに着たいならデニムとか」
「あー、デニムね」
「どんなアウターに合わせるかにもよるけどさ。あ、アウターで思い出したけどコートもチェック柄とか似合うんじゃない？ 北山の雰囲気に合ってると思うけど」
「えー、チェック？」
「意外と合うと思うけど。色はグレーもいいけど青とかでもいいかも」
「ううーん」


想像出来ないのか北山が唸り出すと、いいタイミングで店員が話し掛けてきた。


「よければいくつかお選びしましょうか？」
「え、あ」


北山がうろたえながら俺を見上げるから頷いてやれば、お願いしますと頭を下げた。

店員が持ってきた幾つかのパンツとコート、それに俺が選んだ白いニットを持って北山は試着室に入った。


着替えるのを待っている間、俺もなにか買おうかなと店内をぶらぶら見ていると先ほどの店員に話し掛けられた。


「北山さんと仲良いんですね」
「仲良いっていうか、まあ今日はたまたま」
「北山さんにお似合いのコーディネートだったので、さすがよく知っていらっしゃるなと思って見てました」
「まあ昔から知ってるんで。それよりなんかおススメあります？」


なんだか無性に恥ずかしくて、話しを早く終わらせたかった。
話の転換が急すぎたかと思ったが、店員は何事もないようにありますよと黒のハットを出してきた。


「あ、好きかも」
「よかったです。お好きな感じだなと思って取っておいたんですよ」
「ありがとうございます」


別にこれと言った特徴がある訳ではなかったが、形とツバの大きさが気に入った。

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