Cascade 2

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クリスマス、酔っぱらった北山は俺の服を掴んで離さなかった。

横尾に笑いながら「泊まっていったら？」と言われたが正直、次の日も仕事だし家に帰りたかった。だがなんとなく北山に悪い気がして、しかたなく泊まることにした。


少しでも物音がすると起きてしまう自分を気遣ってくれた渉のおかげで一人布団で寝ることに決まったが、それに対し北山の反応はなかった。

寝る前も二人で楽しそうに話しているのが聞こえ、ソファで寝る寝ないのひと悶着があったようだが最終的には同じベッドで寝ていた。

布団に入っていた俺に渉はおやすみと言ってくれたが、北山は何も言わなかった。


やはりよく眠れず夜中に手洗いに立った時、ベッドサイドランプの淡い光に照らされた二人が見えた。

渉が北山を体ごと抱きしめ、北山も胸に凭れるように寝ていた。渉は寒がりだからきっと体温に釣られたんだろうし、北山はちょっとやそっとじゃ起きないから抵抗もなく抱きしめられたんだろう。

難しいもので好きだと言われると、別に相手のことをなんとも思ってなくても無意識に自分に対しての反応を待ってしまうのかもしれない。

反応されたらされたできっと困るのに、勝手な自分に少し嫌気が差す。


女の子相手だったらこんな風には思わないのに、何故か北山の反応は気になってしまう。

もしかするとメンバーという関係が意識させるのかもしれない。


「早く違う奴、好きになればいいのに」


そうは思っても本人にもう頑張るなと言えないのは、傷つけるのが怖いからだ。

北山には幸せになって欲しいと思う。

仕事であれば何も言わなくても分かるし、支えてやれると自負している。だが仕事を離れた北山なんて何も知らないし、プライベートで支え合うなんて想像出来ない。

だから俺じゃない、北山を支えてくれる誰かを早く好きになって欲しい。

自分勝手なのもわかっているが、そう思うことしか俺には出来ない。


さっきまで読んでいた本も読む気が起きず、ため息をつきながらブックマークを差し込んだ。

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