Cascade 2

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「でもどうやって伝えるの？ 直接言われてないのに俺から言うのおかしくない？」
「そりゃ態度で示すしかないよね」
「態度ってどんな？」
「そんなの自分で考えてよ」
「えー！ そこまで言ったなら一緒に考えてよ」
「……太輔ってほんとポンコツだよね」
「え、どのへんが？」
「俺が考えても意味ないの。太輔が考えなきゃ」


渉の言っていることは何となくは理解出来るが、別に俺が考えなくてもいいんじゃないかと思う。

北山の誤解が解ければ誰が考えたって別にいいのに。


でもこの調子じゃ渉は考えてくれないだろうし、他の人に相談するわけにもいかないし、自分で考えるしかなさそうだ。


んー、と唸りながら水菜を湯に潜らせていると渉が口を開いた。


「太輔って今まで付き合ってた彼女とケンカしたことある？」
「なんで？」
「いや、なんとなく」
「ケンカかー……あんまりないかも」
「彼女が怒った時とかどうしてたの？」
「んー、欲しそうなもの買ってなだめてたかな」
「ああ、なるほど」
「急にどうしたの」
「太輔って相手がどう思っててどうしたら解決するのかって、あんまりちゃんと考えたことないのかなと思ってさ。仕事に関しては何を求められてるかすごく考えてると思うし、誰に対しても優しいところもすごいと思ってるけど、恋愛ってなると上辺の優しさっていうか居心地の良さを重視してる気がする」


渉が言っていることは何となく分かる。


恋愛に甘さと癒しを求めている俺は、機嫌が悪い相手と向き合うのが嫌でプレゼントや甘い言葉で機嫌をとってその場をごまかしていた。

だがそんなことが何回も続けば、関係が破たんして別れが訪れる。

もちろん相手のことは好きだし悲しいとも思うが、また次の相手が現れれば同じことを繰り返す。


その場しのぎの対応がよくないのだということも彼女たちの別れ際の台詞から分かってはいたが、居心地の良さを優先し改善してこなかった。

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