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平日の昼間だけあって混んでいるようなことはなかったが、俺たち以外にも客は何人かいた。
店内に入ると店員がこちらへどうぞとカウンターへ案内する。
「藤ヶ谷様、いつもありがとうございます。今日はお連れ様がお探しだということでしたが、どういった匂いがお好みですか?」
「どういった匂い……えと、男らしいというかちょっと色気のあるような……」
店員に質問され慌てて俺を見るのに頷いてやると、しどろもどろになりながら何とか答えている。
「でしたらこちらはいかがでしょう? シダーウッドのしっとりとした深みも加わった、ほのかに甘くスパイシーな都会的な香りです。男女共に楽しんでいただける香りとなっております」
「んんー……どう?」
匂いを嗅ぎながら眉間に皺を寄せ、自信なさそうに俺を見つめる。
「お前が好きな匂いだったらいいんじゃない?」
「嫌いじゃないけど、ちょっと個性的すぎるかな?」
「んー、個性的と言えば個性的だけどそこまでじゃないんじゃない? ただ年齢にしてはちょっと大人っぽすぎるかなとも思ったけど」
「えっ、あ、やっぱり?」
分かってくれて嬉しい! と顔を輝かせる北山に気分が良くなり、店員にもう少しフレッシュな香りのありますかなんて聞いている。
不思議と北山の言っている香りのイメージが湧いた。
自信がなさそうな北山に代わって俺が伝えてやろうなんて柄にもなく意気込む。
「それでしたら、こちらはいかがですか? 潮風のようなミネラルのいきいきとした香りに、ウッディなセージを混ぜ合わせたものです。陽気で快活でいながら大人の色気を感じさせてくれます」
爽やかなのに深みがあり、少し乾いたクールな色気を感じさせながらふわっとあたたかく包んでくれる。
北山に合っていると思った。
「いいんじゃない? どう?」
北山に聞くと「うん、好きな匂い!」と嬉しそうに笑顔を見せた。
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ちび(プロフ) - めっちゃ引き込まれました、映像化して欲しいぐらいですわ、はいFKYの空気観、めっちゃ好きで仲良しな3人な感じで⚪︎読み応えありました、また読みにきますね⚪︎ (2023年3月21日 20時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ちびさん、こんばんは。こんな長い話を読んで頂きありがとうございます!FKYがお好きなんですね(*´-`)そして汗かくぐらい応援して頂きありがとうございます!この話は長く書いてましたし思い入れのある作品なので楽しんで頂けて嬉しかったです。ありがとうございます! (2023年3月21日 20時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - めっちゃ楽しいです。私藤北と横尾さんな感じめっちゃ好きでミツ頑張っていけ、もうちょっとだと、もう汗かくぐらい応援しちゃいました、めっちゃ楽しかったし、横さん良い、アシストしますよね❤️さすがです、藤北素直になってよてね⚪︎ (2023年3月18日 10時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 蒼井あゆみさん» 蒼井あゆみさん、初めまして!Kさんの気持ちに寄り添い胸を痛めて頂きありがとうございます!自分の気持ちの変化に戸惑うFさんとそんなFさんに戸惑い揺れるKさんを今後とも見守って頂けると嬉しいです。コメント本当にありがとうございました!(〃ω〃) (2019年4月15日 18時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
蒼井あゆみ(プロフ) - くらげさん、はじめまして。初めてコメントします。読み進めながらみっくんの感情の揺れに胸が痛くなります。藤ヶ谷さんの気持ちの変化がうまく伝わってほしい!と願っています。引き込まれています。続き楽しみにしています! (2019年4月14日 22時) (レス) id: d97694ef20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2019年3月13日 0時