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「藤ヶ谷さん、送っていきます」
マネージャーに言われ、もう北山が一緒じゃなくてもいいんだと気が付いた。
「あ、そっか。日用品買いたかったけど、よくよく考えたら北山の車じゃなかったよね」
「あー、そうですねー……北山さーん」
この三か月沢山の時間を使わせていて、もしかしてやっと解放されると思っているかもしれない北山に自分からお願いすることは出来なくて。
だから代わりに頼んでくれないかという思いで言った言葉に、考えるような素振りをしたあとマネージャーが北山を呼んだ。
「なに?」
北山はいつもと同じように、マイペースに帰る準備をしている。
「もし今日お時間大丈夫でしたら、藤ヶ谷さんが一人で買い物できるか付いていて頂けないかと思いまして」
「あー、いいよ」
「ありがとうございます。ではお二人を藤ヶ谷さんの家まで送っていきますね」
「ほーい」
北山は何でもないことのように返事をし、またゆっくり荷物を詰めた。
「北山よかったの?」
「なんで?」
「いや、俺に付き合わせるから」
「買い物なんていつもじゃん」
特徴的な笑い声をあげ、やっと詰め終わったらしい鞄を持って行こうぜと言った。
マネージャーに家まで送ってもらうと、そのまま俺の車に乗り換えスーパーに向かう。
北山には少し後ろを歩いてもらい、俺一人でスーパーの中を歩いた。一人で外を歩くのなんて久しぶりで、緊張で心臓がバクバクする。
誰にも声を掛けられないまま順調に買い物は進み、大丈夫かもと思った時後ろから声を掛けられた。
「藤ヶ谷さん、ですよね?」
大げさなほど跳ねた体で勢いよく後ずさる。
「あの、私
「悪い、待たせた」
恐怖に足が竦んでいると聞き慣れた声が聞こえ、同時に俺と女性の間に割って入ってきた。
「……ううん、大丈夫」
「そっか。じゃあ行こうぜ」
そう言って北山は、俺の腕を緩く掴んで引っ張る。後ろでまだ何か聞こえたが、引っ張られるままに歩いた。
途中で離れた手に不安になったが、見ると北山が笑ったからほっとする。
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ちび(プロフ) - めっちゃわかります、私も匂い、香りとか良いですよね、記憶に残りますしね、私もめっちゃ色気感じます、好きな話でした。 (2023年4月27日 0時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ちびさん、沢山読んでくださりありがとうございます。匂いってめちゃくちゃ色気あると思っているので匂いが盛り込まれている話を多く書いている気がしますが、文字から匂いを感じてもらえたら嬉しいです。匂いに関する話をまた書いた時は読みに来て下さると嬉しいです。 (2023年4月27日 0時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - こちらも読ませてもらいました、設定楽しいですね。イチャイチャめっちゃ嬉しくなりましたわ、可愛い2人ですね、でもこれFKは本当セクシーだから香りありそうですよね。いい匂いするね、なんか、のですね😊 (2023年4月16日 22時) (レス) @page19 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 雅さん» 雅さーん!あの描写からKさんがいつもFさんを気に掛けているのを読み取ってくださりありがとうございます。そういうものとして書いていたので確かに!と思いました。どんな関係か分からない二人を書くのは久しぶりでしたが私も好きです!いつもありがとうございます! (2022年12月6日 20時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - こんばんは!Kさんが予定があると断ったのに連絡してきたところ、Fさんの病気のこともあるけれど常に気にかけてるのが伝わって素敵でした!そして結局家に行っちゃうんですよね(*´ω`*)お互いがまだどんな関係位置にいるか分からない時のFKもとても好きです! (2022年12月4日 16時) (レス) @page14 id: 533dfc9d96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2022年11月26日 17時