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「そんな顔すんなって」
北山が困ったように眉を下げながら笑い、俺の頭をぽんぽんと撫でた。
その瞬間、急にカッと体が熱くなる。
突然の変化に何事かと驚いてる間に、北山は俺をまっすぐ見つめた。
何故だかその大きな目に吸い込まれそうになっていると、目を細めて口を開く。
「お前は俺が守ってやるから」
北山の笑顔と言葉が同時に入ってきた時、大量の花が一斉に開いたような香りが突風のように吹き上がった。
その香りに前後不覚になるような感覚がして、くらりと前に倒れると抱きかかえられる。
「藤ヶ谷!? どうした、大丈夫か?」
まるでバラ園にいるかのようなフレッシュで甘い香りが俺を包み、ますます目が回りそうだ。
「なんか熱くない? もしかして熱がある?」
それなのに顔が見たくて、そっと頭を上げると眉を下げおろおろしていて、もう何かが堪らなくなってぎゅっと抱き付いた。
「ふ、ふじがや?」
頭の上から焦ったような声がして、ますます吹き荒れる甘い香りが俺の何処かを締め付けてくる。
本当に訳がわからなくて動揺してるのに、離れたくない。
「気持ち悪い? 横になるか?」
心配そうな声が聞こえゆっくり顔を上げると赤い顔が見え、頭の中で何かがカチカチと光った気がした。
もう少しで何かがわかりそうなのに、上手く頭が回らない。
ただずっとこうやってくっついていたい。
「このままでいて」
あとちょっとでわかりそうだから、今はまだもう少しこのまま。
「……う、うん」
北山がそろそろと俺の背中に腕を回す。
その温もりに、頭と心が繋がった気がした。
先生の見立ては間違ってなかった。自分で気付いてなかったことに、体が先に反応したんだ。
(そうか、そうだったんだ)
肩に手を置き体を起こすと、赤い顔で戸惑っている北山の顔。
気づいたら言葉が零れていた。
「俺、北山が」
目を見開いた北山から痺れるような甘い匂いが広がり、俺は沸騰する頭と体で誘われるままに目の前の唇に口付けた。
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ちび(プロフ) - めっちゃわかります、私も匂い、香りとか良いですよね、記憶に残りますしね、私もめっちゃ色気感じます、好きな話でした。 (2023年4月27日 0時) (レス) id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - ちびさん» ちびさん、沢山読んでくださりありがとうございます。匂いってめちゃくちゃ色気あると思っているので匂いが盛り込まれている話を多く書いている気がしますが、文字から匂いを感じてもらえたら嬉しいです。匂いに関する話をまた書いた時は読みに来て下さると嬉しいです。 (2023年4月27日 0時) (レス) id: 4781cdc11c (このIDを非表示/違反報告)
ちび(プロフ) - こちらも読ませてもらいました、設定楽しいですね。イチャイチャめっちゃ嬉しくなりましたわ、可愛い2人ですね、でもこれFKは本当セクシーだから香りありそうですよね。いい匂いするね、なんか、のですね😊 (2023年4月16日 22時) (レス) @page19 id: ff59837987 (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - 雅さん» 雅さーん!あの描写からKさんがいつもFさんを気に掛けているのを読み取ってくださりありがとうございます。そういうものとして書いていたので確かに!と思いました。どんな関係か分からない二人を書くのは久しぶりでしたが私も好きです!いつもありがとうございます! (2022年12月6日 20時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
雅(プロフ) - こんばんは!Kさんが予定があると断ったのに連絡してきたところ、Fさんの病気のこともあるけれど常に気にかけてるのが伝わって素敵でした!そして結局家に行っちゃうんですよね(*´ω`*)お互いがまだどんな関係位置にいるか分からない時のFKもとても好きです! (2022年12月4日 16時) (レス) @page14 id: 533dfc9d96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:くらげ | 作成日時:2022年11月26日 17時