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「……なにかありました?」
「なんで?」
「なんだか悲しそうだから」


誰にも気づかれなかったことを指摘され、動揺する。


「そう? いつも通りだけど」


麻衣子さんは来る度に近況を話してくるから、最近の様子はなんとなく知っている。
だが俺は時々仕事のことは話すが、プライベートの話はしたことがない。俺の両親が言うのも考えられないし、だから何かを知って言ったわけではないだろう。




別れたと母親に伝えた時、少しの沈黙のあと大きなため息をつかれた。


「私があれだけ後押ししたのに、なんで掴まえられなかったのよ」


心底残念そうに言われ、意味がわかなくて首を傾げる。


「食事会の時のひろくん、凄く冷静でとても好きな人の親に関係を認めてもらいに来てる感じじゃなかった。裕太は好きみたいだったから騙されてるのかとも思ったけど、あの人にもはっきり意見したり悪い子には見えなった。だから後日、ひろくんを呼び出したの」
「え、そうなの?」
「ええ。コーディネーターを紹介したのもひろくんを気に入ったのもあるけど、繋がりが強くなれば裕太と一緒にいてくれるかもって思ったの。紹介するって話した時、ひろくん本当に困った顔してね。いい子だなって思ったし、やっぱり裕太とは付き合ってないって確信した」


洞察力に感服すると同時に、俺のことを考えてだったんだと親の愛に泣きそうになる。


「ひろくんがあの会社に就職したって聞いたから、てっきり上手くいってると思ってたのに」
「宏光は遠慮してたけど、俺がやった方がいいって言ったんだ。それに恋人がいるのを知ってて、無理に恋人の役をやってもらっただけだから宏光はなにも悪くない」


もう会うことはないかもしれないが、それでも宏光のことを悪く思われるのは嫌だった。

母さんはそうだったのねと納得したように頷いたあと、俺をじっと見つめる。


「なに?」
「本当に好きだったんだなって思って」
「……うん、そうだね……」


不意に目頭が熱くなった。でも、さすがに母さんの前で泣けないとぐっと堪える。
 

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くらげ(プロフ) - tenさん» tenさーん!最後までお付き合い頂き誠にありがとうございます。最初はTさんが泣いて終わる予定だったのですが後味どうなんだろう…と今回の形にしてみました。喜んでもらえて良かったです。また読み返してやってください。コメント本当にありがとうございました! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» 良かったと言って頂けて安心しました。タイトルも気に入って頂けて良かったです。今後もよろしくお願いします!(*´-`) (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - seaさん» seaさーん!私こそ最後まで読んで頂きありがとうございます。書いてる期間が長すぎてこれ楽しみにしてくださってる方いるのかなと思うこともあったので、そう言ってもらえてとても嬉しいです。大人になると出てくる仕事や恋愛の悩みと成長を含めて書いてみましたが→ (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - mimotaさん» mimotaさーん!完結までお付き合い頂き誠にありがとうございます。感動しながら読んで頂けたなんてとても嬉しいです。これから色んなことがあると思いますが二人なら乗り越えていけると思うので妄想いっぱいしてくださると嬉しいです。いつも沢山ありがとうございます! (2022年11月16日 22時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)
くらげ(プロフ) - chaizoukunさん» コメントありがとうございます!私の作品が大好きだと仰ってくださり更には過去作も何度も読んで頂いて本当に嬉しいです。お気に入り作者登録がキリの良い数字になったら番外編を書こうかなとぼんやり思っておりますがそんな日が来るのか(笑)今後も宜しくお願いします (2022年11月16日 21時) (レス) id: b17685444c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:くらげ | 作成日時:2022年7月1日 0時

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