夏の涼しさを求めた結果

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『約束してくれて有難う。それじゃ……』

というと、Aは口角を上げて笑い、今までの優しい女子オーラをぶち壊しながら、

『では改めて私の自己紹介！私紅月Aは重度の面食いで、趣味はOZのcasinoで遊ぶこととイケメンと美少女を眺めること。ちなみに学校では普通の人を目指し日々努力し、猫を被って生きていて、こっちが内なるリアルAちゃんです☆』

と、目の横にピースまで決め込んで一気に言った。


佳主馬のぽかーんとした顔を見て、Aは満足そうにニヤリと笑い、

『改めてよろしく』

とどめにAはそう言い放った。




さらにAが

『いやー、イケメンってどんな顔でもかっこいいねぇー。』

なんて言うもんだから余計にこの光景のシュールさが増した。





｢女子って皆こうなの…？｣

『う〜ん、裏と表の顔多少が違う子は多いけど、私みたいな180°違う子は珍しいんじゃないかな〜？』


やっと口がきけるようになった佳主馬に対してあっけらかんと答えるA。

確かに大抵の子は“裏の顔=悪口を言う”という方程式が成り立つため、Aのように性格、表情、話し方等々全てにおいて180°違う人は少ない。よってAは稀に見る変人である。



「て言うか、casinoってあのOZのcasinoステージの事？どうやったらあんなのにハマるの？」

落ち着いてきたのか、いつもの冷静さを取り戻しながら呆れた口調でごもっともな質問をする佳主馬。


『あー、んー、それはね。私、運動神経には結構自信があるんだよ。だから小学生の時色んなスポーツやってたんだな。』


佳主馬は内心驚いていた。
スポーツをしてたらもう少し日に焼けててもおかしくないだろう、と。


『例えば、バレーボールとか水泳、テニス、あ、柔道もやってたかな』

さらっと恐ろしい事を言う。
だか、確かに白いわりには足も腕も細いわけでわなく、割かし健康的な体付きなのもこれで説明ができる。

格闘技をやっている佳主馬は興味本意で

「柔道って段とかあるよね？持ってたりするの？」

と、聞いた。


すると、

『ううん、段は中2からじゃなきゃとれない、私は辞めたのは去年だから。でも段はなくても一応1級は持ってるよ』

親指を立てながらドヤ顔でAは言った。





これを聞いた瞬間佳主馬の中での優しくてふんわり笑うか弱そうなAちゃんのイメージは完全に崩れた。
そしてコイツはゴリラだと悟った。

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