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「佳主馬です。」
「お入り。」
威厳のある声が聞こえて、襖の開く音がする。
佳主馬が部屋に入り、白髪で背筋を伸ばして着物を着こなしているおばあちゃん____陣内栄の前に正座して座った。
「遠いところから良く来たね。疲れただろう?」
最初に口を開いたのは栄の方だった。
その声は威厳のある姿とは裏腹に優しさに満ちたとても落ち着く声だ。
「まぁ、新幹線も乗ったしそんなに疲れてないかな。ただ上田駅からこの屋敷前までのバスの揺れが相変わらず凄かった。」
栄と話している時の佳主馬は気の所為かいつもより少し丸くなった話し方をしている、廊下で待機しているAは思った。
「はっはっはっ、私は最近バスに乗らないから分からないけれど、それは大変だったねぇ。」
90歳とは思えない若々しい笑い声が少し狭い和室に響き渡る。
「前置きはそれくらいにして、紹介したいは人がいるんだ。夏希姉から聞いてると思うんだけど........」
「彼女さんだね、まさか本当に佳主馬が連れてくるなんて。」
少し驚いた顔をした栄が言った。
「入ってもらいな。」
「だそうだよ、A。」
佳主馬が後を振り返りAを呼んだ。
『失礼します。』
おどおどしながらも完璧にお辞儀をキメながら和室に入ってくるあたり、流石武道家だと思う佳主馬。
佳主馬は若干右に避け自分の左床をぽんぽんする。ここに座れという意味だそうだ。
佳主馬の左に正座して座るA。
『佳主馬君とお付き合いさせていただいてます、紅月Aと申します。数日間お世話になります!』
と、これまた完璧なお辞儀をキメながらAが自己紹介をする。
「まぁまぁ、緊張なさんなって。佳主馬の彼女なんていうからもっと癖のある子かと思ったんだけどねぇ、とても良い子じゃないかい。」
この言葉に全力で否定にかかる2人。
『いえいえ、滅相もないですよ!こう見えても私大分個性が強い方でして!』
「そうだよ栄おばあちゃん、Aは癖が強いなんてもんじゃない。」
『コラ佳主馬、少しは自分の彼女印象を良くしろ。』
ジト目で睨むA。
「仲が良さそうでよかった。」
栄が微笑みながら言う。
「ところで、こんな田舎に住んでるものだから最近若い子の話を聞いてなくてね、ひとつこの老人に2人の惚気話を聞かせてもらえないかね?」
心なしか栄の目が光ったような気がした。
ほらきた、Aと佳主馬は互いに目配せし合った。勝負はこれからだ!!!!!!
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モモ LOVE - カジュマー!!!!!!!!(泣)(泣)かっこよかですー!!(泣)これからも頑張ってください!!!!!!(泣) (2019年11月11日 16時) (レス) id: 592a6abe49 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!応援してます! (2019年10月11日 17時) (レス) id: 0880c99870 (このIDを非表示/違反報告)
奏音♪(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!!これからも更新頑張ってください!応援してます!佳主馬君尊い…… (2019年8月3日 16時) (レス) id: ac6889db09 (このIDを非表示/違反報告)
イアサ(プロフ) - わーたんさん» わーたんさんコメントありがとうございます。面白いなんて嬉しいコメント貰ったら無理して頑張っちゃいます!これからもこの駄作をよろしくお願いします(o_ _)o (2019年7月29日 12時) (レス) id: a05709b1ac (このIDを非表示/違反報告)
イアサ(プロフ) - 雫さん» 雫さんコメントありがとうございます!読みやすいなんて言って下さり感激の渦に飲み込まれています(笑)私も雫さんの作品楽しみながら読ませて頂いてます!これからもこの駄作をよろしくお願いします(o_ _)o (2019年7月29日 11時) (レス) id: a05709b1ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いあさーもん | 作成日時:2018年7月9日 0時