数えて、今がある。

超絶カッコいい仕事 ページ5

「お前、すげえな。この調子ならきっと、来年ごろにはレギュラー入りだぜ」

先輩の声が聞こえたので、俺は返事をした。

「伊藤先輩には負けますよ」

伊藤先輩は豪快に笑った。

「お前、来週帰国だろ。ラインで、知り合い全員に知らせるんだろうが」

俺はその文章の一部に引っかかった。

「ラインじゃなくて、メールで一斉送信っすね」

俺の返事に、伊藤先輩は首を傾げる。

「なんでそこ、メールにこだわるよ」

逆に聞きたい、と俺は思う。

伊藤先輩の目を見て、俺は胸を張って答えた。

「それは、ラインよりもメールの方が、重々しいからですっ！」

勢いにのせて言うと、伊藤先輩は苦笑いを浮かべる。

「お前、超気障(きざ)だな。そういうの、俺、嫌いじゃないぜ？」

挑発的な笑みが似合う先輩は、少し、かっこよかった。

でも俺は悔しがってなんか、いないんだぜ？

なんでって、俺の方が倍、かっこいいからさ！

俺はそう思いながら、メールで一斉送信のボタンを押した。

「おい、お前らそんなところで話してるひまがあったらペグ抜くのと、ゴール片付けるの、
手伝えよ。それよか、お前、若武は帰国の準備をしたらどうだ？お別れ会、開いてやるよ」

冗談めかしていった監督は俺と伊藤先輩の肩を叩く。

以前の俺ならお別れ会、という少し子供っぽいフレーズに

苛立っていただろうが、今の俺はそうじゃない。

大人なんだから！

俺の名前は、若武和臣。

仕事は、言うまでもなく、プロサッカー選手だ！

「おい、ぼさっとしてないで、はやく作業しろよ。終わったら、お前の好きな
チョコレート、奢ってやるからさ、頑張れ」

マジでっ！？

・・・って、こういうところで俺、子供扱いされんだよなあ・・・・・

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