数えて、今がある。

悠飛の大切とは ページ19

「休みはどうすんの」

車のエンジンを入れながら、悠飛は私に聞いた。

「実家に帰ろうかな、久し振りに」

私はそう答えた。

奈子にも会いたいし、ね。

「ふーん」

悠飛は幾分不満げに運転を始める。

悠飛の運転は危なげない。

安心して彼の運転する車に乗る事が出来た。

ただ、疑問が一つ。

何故私が実家に帰省する、と言ったら悠飛は不満げになったのか！

悠飛は休み、貰えてないのかな。

忙しいのに、休みを貰えていないの？

「あの、悠飛、休みは・・・？」

私が聞くと、悠飛はやんちゃな声で答えた。

「さて、特別講師にまとまったお休み、あるかな、彩君」

冗談めかした口調でそう言ったので、私は恐る恐る答えた・・・。

「・・・少ない？」

悠飛は笑いを漏らす。

「全くと言っていい程ない、超、超少ないんだ」

はあ・・・。

「で、やっと三日後に一日もらえたんだ」

あ、よかった、ほっ。

「だからその貴重なお休みは大切な人と過ごしたいな、なんて思って」

じゃあ、悠飛も実家に帰省するのかなあ。

「一日だけの休みだと、実家に帰るの、忙しくて大変だね」

瞬間悠飛は、ちがう、ちがう！と言う。

え、何が違うの？

「だから、大切な人と、過ごしたいんだって」

だから、家族は大切でしょ。

お母さんとも、今は良い関係になってきている、って言ってたじゃない。

あ、もしかして友人に会いに行く、とか？

「じゃあ、どんな友達に、会いに行くの？」

悠飛は深い溜め息をついた。

もう、諦めるしかない、とでも言いそうに、暗い空気だった。

「そりゃ友達も大切だけどさあ・・・」

はて・・・？

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