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雨のち・・・ ページ13

私は鞄を持って少しふらつきながらも電車の時刻をスマホで調べた。

勿論、歩きながらじゃないよ!

「あ、今時間だ」

バスが来る時刻は、あと一分でやってくる、という事が分かった。

私は足を必死に動かす。

いつもは履かないお洒落な靴は、綺麗なデザインな分、とても走りにくかった。

でも、急いで行かないと、監督さんに失礼だから、頑張れ、私!

自分で自分を励まし、ようやくバス停に到着。

広い駅だと、バス停に着くのも一苦労だなあ・・・。

そう思いながら息を整えていると、バスがやって来た。

間に合った!

そして数分バスに揺られていると、目的地へ。

私は急いで代金と整理券を渡して今度は会社へ急ぐ。

すると、バスにギリギリ乗れた時、運が尽きたのか、嫌なタイミングで雨が降ってきたんだ。

げっ!

今日、予報では一日中晴天、ってはずだったんだけどなあ・・・。

私が途方に暮れていると、その時。

「あの、傘、貸しましょうか」

聞き覚えのある声に包まれた。

私が驚いて振り向くと、そこに一人の男性の姿が見えた。

でも、私からしたら、ただの男性ではなかったんだ。

金色に輝く美しい髪。

長い睫毛、綺麗な瞳。

その、包み込むような、包容力のある声。

「翼・・・」

私の声を聞いて、彼は驚いたような表情になる。

「もしかして、アーヤ?」

私は頷く。

翼はしばらく見開いた目で私を見つめていた。

そして、その頬をフッと緩ませる。

そして、小さく息をつき、一言。

「髪、伸びたね」

それは、久し振りに会った、という事を象徴するような事だった。

「翼、背、伸びたね」

私も、お返しにそう声をかける。

「一目じゃ分からなかったよ」

私も、だよ。

「・・・よかった」

翼は、ずっと綺麗な笑みを浮かべていたけど、今度は違う笑顔を浮かべた。

「また、会えて」

あの時みたいに、無邪気で、可愛らしい笑顔をこちらに向けてくれる。

「私も、会いたかったよ」

そう言うと、少し、恥ずかしくなってしまった。

「俺は、今からダンスの先輩に挨拶に行くんだ」

わあ、翼、ダンスやってるんだね!

「私は、」

翼は私の言葉を遮る。

「知ってるよ。小説家、でしょ」

うん!

「今から、どこ行くところだったの」

そう聞かれ、私の胸に、一つの言葉がよぎった。

「急がないと!!」

そうだ、私、監督と打ち合わせしに行くところだった・・・。

14→←連絡が来た時



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こけし - 更新楽しみにしています! (2019年11月15日 18時) (レス) id: 59149e5449 (このIDを非表示/違反報告)
- 漢検と英検の勉強頑張って!!次の更新楽しみにしてるよ〜! (2019年10月14日 12時) (レス) id: e17975151e (このIDを非表示/違反報告)
するめちゃん - ごましお @Project KZさん» 見てくれてありがとうございます!そうですね、もうすぐ皆大集合します、待っていてください!文才が溢れている!嬉しいです・・・!頑張りますね! (2019年8月26日 8時) (レス) id: 2226292568 (このIDを非表示/違反報告)
ごましお @Project KZ(プロフ) - 早くKZ全員で集まれるといいですね♪文才溢れてますね(((o(*゚▽゚*)o)))尊敬しますm(._.)m溢れた分は私が回収しておk((殴 (2019年8月25日 22時) (レス) id: b3a1986b4c (このIDを非表示/違反報告)
するめちゃん - 上杉乃彩さん» 誤字ったやつは見なかった事にしてください (2019年8月22日 19時) (レス) id: dce6a31fb2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:するめちゃん | 作成日時:2019年7月26日 9時

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