絆と恋は相違する

6,桜並木に揺らぐ想い ページ6

黒木side



標準の範囲内でゆっくりと歩を進める。



早く家に帰りたいって訳では、全く無いし。




隣には上杉が居るが、一言も話さない。



男に取って常識でありマナーの１つとして、



思考に耽ってる時は遮らないと言う物がある。



上杉先生は何やら考え事があるらしく、



先程から別の世界に閉じ籠ってしまっている。




＿＿＿＿まぁ、アーヤの事だろうな。




朝の駅にアーヤが居た事は把握済み。



そう思いながら、僅かに唇の端を吊り上げた。




いつまでこの想いを抱えていれば良い?





何故アーヤを好きになってしまったんだろう。



他の女子なら、こんな思いはせずに済む。




…実質フラれてから一年も経つのに。






伝え切れなかった好意は依然胸に燻っている。




どうしても捨てられない、この想い。




好意を抱いた子がアーヤじゃなければと、



幾度と無く繰り返しながら考えた。





「君がそんな性格じゃなかったら、



俺もKZのアイツらも好きになってないよ。」





＿＿＿本当に皮肉だな、人生ってものは。




俺の小さな呟きは柔らかな風に乗って消えた。




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