【薄桜鬼】～感情のない忍び～ (ページ9)

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私が新選組の隊士になって、五日が経った。もう少しできちんとした隊士になれる。

だが、その前に何かありそう。

そんな予感がしていた。

六日目。何時ものように何故か義弥にこんなことを言われた。

「夜、気を付けろよ」

問いただすと、「やっぱり何でもない」の繰り返し。

そんな訳で、今私は眠りにつこうとしていた。
嫌な予感がしながらも、布団を被り眠りにつこうとする。

そのままうとうとしはじめて、私は浅い眠りについた。

『！！』

ふと感じた気配と殺気。

気づくと、すぐそばに人がいて、木刀を振り上げていた。

私は咄嗟にくないを手に取り、素早く木刀を避けると、その人影の首もとにくないをつきつけた。

『誰だ』

低く唸るように問うと、そいつはくすっと笑った。

それと同時に開かれる襖。思わず襖を見ると、蝋燭をもった土方たちがいた。

「合格だ」

『………は？』

土方の意味不明なその言葉に、思わずすっとんきょうな声をあげる。
そして、蝋燭の明かりで、今誰にくないをつきつけているのかが分かった。

『…沖田』

「僕の一撃を避けるだなんて凄いね」

くないをつきつけられているのにも関わらず、沖田は相変わらずにこにこと笑みを浮かべている。

何となく分かった気がする。

『もしかしてこれは…』

「お前が思ってる通り。これが新選組に入る条件だ」

私は表情を崩さず、冷静にくないをしまって警戒を解く。そして、土方は話を続けた。

「度胸のねえ奴は新選組にはいらねえ。だから一週間仮隊士として新選組に入ってもらい、こうして夜に度胸試しをやってるんだ。怖がった奴は即ここから追い出してるが、お前は合格だ」

『それはどうも』

義弥の言ってたのはこの事だったのか、と改めて思う。きっと仮隊士には言ってはいけないという暗黙の了解をあいつは破ったんだろう。

「とにかく、てめえは今日から正式な隊士だ」

『それはありがたいが、沖田からは本当に殺気が感じられたぞ』

「やだなあ。そんなわけないじゃん」

くすくすと笑う沖田。あの顔は絶対にそうに決まっている。

あの時感じた殺気は本物だった。修羅場を潜り抜けてきた私だからわかる。

『とにかく疲れた。もう寝かせてもらうぞ』

「ああ。ゆっくり休め」

土方はそう言うと、皆を引き連れて部屋から出ていった。

こうして、私は新選組の正式な隊士となった。